ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)
ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
トリックもよく考えられているし、プロットの展開も巧みだ。エンターテインメント小説としては十分に面白く読めるだろう。ただ、一方で本書は警察小説でもある。そうした側面から見ると、リアリティという意味において多くの難点を持ってもいる。それは、よく言えばおおらか、だが見方を変えれば杜撰ということにもなりかねない。まず、捜査の肝心の部分が全て秦と菜月のチームに行く上に、ことごとく当たりであること。別件逮捕の詐欺事件を神奈川県警が行うこと(管轄は警視庁では?)。殺人と現金の振り込みの日程が不自然であること。⇒
2021/05/28
W-G
移動中に読んだ書店のオススメ。これはどうだろう…一言でまったくヒネリがない。文絵の背景にサプライズがあるにはある。しかしそれは、そういうことでした、というだけの特に何の効果も得られない類のもの。捜査の過程で色々と浮かび上がっても、それが犯人の肉づけになり、社会派として成立しているわけでもなく、また主役刑事が、独特の嗅覚や閃きで真相に肉薄していくわけでもなく、というか、秦の奥さんの設定必要だったか?な思わせぶりなだけの投げっぱなし感がすごい。どの路線に寄せたかったのか焦点がぼやけてしまった感じはすごくある。
2018/11/23
ノンケ女医長
ウツボカズラ。外観はそこまで異様ではない。食虫植物で、甘い蜜を分泌。中に落ちた虫を消化し生き延びる。こんな植物に比喩される、犯人。警察が特定した行程には多少の強引さも感じたけれど、次々と悪行に手を染める怨嗟は本当に熾烈だった。もし警察が適正に判断していなかったら、きっと犠牲者が今後も続々と生まれたのかも。犯人の心魂は、私欲と巨額の資金で満たされても、永遠に空疎。次々と不幸を生み出しオーストラリアに逃避した、犯人。ホテルのドアを開け、警察から逮捕状を見せられたとき。安堵の心境に到達できればいいのだけれど。
2023/03/11
あきら
柚月さんの作品はとにかくタイトルが格好いい。本作品も例に違わず。 後半からさまざまな伏線が回収に向かい、畳みかけられました。一気読み。 読んだ後、こんなに分厚い本だったんだ、と思うくらい長さは気になりませんでした。個人的には。
2020/10/03
Makoto Yamamoto
今回も展開が読めず、最後の急転直下の解決に改めて感動。複数の物語が進み、刑事視点での話とも協調し、どんどんのめり込んでしまった。人の入れ替わりを最初の方で感じられ、ビジネスの展開も慣れた感じがして、???はあったのだが、いい意味で騙されました。
2020/02/24
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