きみの隣りで (幻冬舎文庫)
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「きみの隣りで (幻冬舎文庫)」のおすすめレビュー
森のそばに住む家族と周辺の人々の日常が優しく懐かしい…益田ミリの『きみの隣りで』
『きみの隣りで』(益田ミリ/幻冬舎)
忙しく日々を過ごしていると、深く呼吸することを忘れてしまう気がする。「こんな生き方でいいのかな」と不安になったり「もう〇〇歳なんだからしっかりしなきゃ」と自分を鼓舞したり。次第に息苦しさを感じてどんどん視野も狭くなり、そのことがさらに怖くなったりする。『きみの隣りで』(益田ミリ/幻冬舎)は、そんな日々のせわしなさから離れ、森で深呼吸したような読後感を味わえる1冊だ。
著者は人気コミック「すーちゃん」シリーズなど、日常のさりげない風景や心情を描く作品を多数生み出している益田ミリさん。本作では、森の近くに住む早川さん家族とその周辺の人々の小さな物語が丁寧に積み上げられていく。
冒頭のエピソードは温かくどこか懐かしい。ある日、早川さんの一人息子・太郎少年は、学校で宿題を出されて「生まれた日のこと」を早川さんに尋ねる。早川さんは自分と太郎少年にとっておきの飲み物を用意し、「特別な日のこと」をゆったりと話す。太郎は「特別な日だったんだ」と反芻しながら、その夜ぐっすりと眠るのだ。
いいお母さんだなあ、と思いながら読み進…
2019/3/12
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きみの隣りで (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
アクビちゃん
益田ミリさんは、新刊(これはマンガ)が出ると無条件で購入する作家さんの1人です。「週末、森で」の続編で、都会から森へ移住した早川さんが、いつの間にか結婚して、母親になっていました。早川さんの肩に力が入っていない暮らしぶりが羨ましい✨子どもが生きがいではないと言い切り、1人で海外旅行へ行ったりしている早川さん。そこだけ見ると、なんて母親…と思うかもしれないが、最近は子離れ出来ないママ友が多くて、たまにイラッとする事があるので、その人に読ませたい。子どもの世界に口出しちゃダメ!子どもを生きがいにしないで
2019/03/23
るぴん
『週末、森へ』から繋がるお話。森へ引っ越して、頑張らないスローライフを送る早川さんにはいつの間に旦那さんと小学生の息子が。息子・太郎少年に対するお母さんとしての接し方がすごくいい。対照的に描かれている担任の高木先生とそのお母さんの、子離れできていない感じが際立つ。「生きがいは、ひとりひとり自分の中にしかないんだと思います」早川さんはわかってらっしゃる(笑)。
2019/02/22
ダリヤ
続編とは知らずに読み終わり。読んでいるだけで、やさしいきもちになれる。世界にあふれるやさしくたくましく生きている、うつくしいものたちの姿を忘れずに、わたしもやさしくたくましく生きていきたい。葉っぱのお手紙を太郎くんと守さんがチェコにいる早川さんに宛てて川に流すシーン、とても好き。
2020/09/20
リコリス
森の中で暮らす。ちょっと憧れます。 森を散歩して…と、そういえば子供が小さい頃は森の近くに住んでいた!と思い出しました(笑)栗拾いに山菜摘み、蔓をとってきてリースを作ったり楽しかったなぁ♡種にも色んな旅立ちがあるように子供たちにも色んな旅立がある。あのたとえがすごくよかった。ミリさん、じんわりと心に効きます。
2020/01/11
カール
単行本で読了済ですが、やはり手元に置いておきたいので文庫化されたので購入しました。やっぱり早川さんがヒナちゃんのお母さんに話す「子どもは生きがいじゃないです」って言葉が印象的でした。単行本についていたスープの写真が文庫本にもついていたので、ちょっと嬉しかったです。
2019/02/14
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