異常者 (祥伝社文庫)
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「異常者 (祥伝社文庫)」のおすすめレビュー
亡き妻の命日に妹まで惨殺…連続殺人鬼「残虐魔」は自分のすぐ隣にいるかもしれない
『異常者』(笹沢左保/祥伝社)
今から17年前の2002年、ひとりの作家が天国へ旅立った。彼の名前は、笹沢左保。1961年に『人喰い』で日本探偵作家クラブ賞を受賞して以来、ジャンルにとらわれずに人間の心理を巧みに表現し、読み手の想像を覆すようなドラマティックな小説を多数世に送り出した。『異常者』(祥伝社)は、その中でもひと際強烈なインパクトを読者の心に残す作品。
本作が文庫版として刊行されたのは30年以上前の昭和56年。本作は現在でもなお、ページを開いても古めかしさを感じさせない。むしろ、綿密に練られた重厚なストーリーに感嘆の声が漏れるほどだ。
■連続殺人鬼「残虐魔」の正体を暴け!
本作の主人公は弁護士の波多野丈二。物語は、2年前に自殺した羽多野の妻・マチ子の命日に妹が殺されたという事件で幕を開ける。たったひとりの家族であった妹を手にかけたと思われるのは、世間でも話題になっている「残虐魔」。残虐魔は1カ月の間に4件もの殺人を犯している連続殺人犯だ。
被害者はすべて女性。衣服は切り裂かれ、乳房と下腹部には赤いペンキを吹き付けられていた。そして、全…
2019/10/6
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異常者 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
雪風のねこ@(=´ω`=)
大の大人が昼にカレーライスとチョコレートサンデーをかっ食らう。男女の価値観、日本と世界の価値観を”時代”として切り取とられた作品を、現代と付き合わせて考えるといった事も面白い。波多野は推理力を働かせ真実に行き着く。だがそういった自己中心的な思考が妻を自死に追い込み、多美子を追い込み、倉沢を追い込み、そして自分をも追い込んでしまったのだと思う。犯人はキラキラした目を波多野に向けたと云う。恐らくは人を殺める時もそんな目をしていたに違いない。異常さの中に正常な事を見出そうとするかのように。
2021/12/29
coco夏ko10角
妹が連続猟奇殺人の犠牲者に…。男女の価値観や考え方がちょっとなぁ。まあ昭和に書かれた作品だとよくあることなんだけど、いつも以上に「女はこういうもの」みたいなのが強くてなんだか。
2020/03/14
ちょん
分厚くて読み応えのある本。ちょっと男女の考え方が古いなとか偏見あるなぁと思いながら読みました。にしても、あの終わり方...。不満。この分厚さにあのラストは不満(笑)
2021/11/16
けんけんだ
章が細かく別れていて読みやすかった。内容も連続殺人の犯人探しで何度も節目が来る感じは悪くない。他の作品もこういう書き方なのだろうか、読んでみようかと思います。
2019/10/26
JKD
民事弁護士の波多野は残虐魔「影」による連続猟奇殺人の被害者となった妹の無念を晴らすために捜査本部と違う視点で裏調査を進める。やがて共通点という切り口で「歪んだ真珠」の謎を解き犯人を特定するが、同時に他の容疑者2名も浮上し、事態は混乱してくる。 現職刑事の山城と私的なコンビを組み、波多野の執念と悪戦苦闘の末に突き止めた残虐魔の正体がまさかの人物だった…。波多野の主観を裏付ける事実が怒濤のように明らかとなっていく中でいろんな異常者が出てくる。中盤以降は先が気になって仕方ないほど物語にのめり込んでしまいました。
2020/02/09
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