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まだ温かい鍋を抱いておやすみ(祥伝社文庫あ42-1) (祥伝社文庫 あ 42-1)

まだ温かい鍋を抱いておやすみ(祥伝社文庫あ42-1) (祥伝社文庫 あ 42-1)

まだ温かい鍋を抱いておやすみ(祥伝社文庫あ42-1) (祥伝社文庫 あ 42-1)

作家
彩瀬まる
出版社
祥伝社
発売日
2023-10-12
ISBN
9784396350130
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まだ温かい鍋を抱いておやすみ(祥伝社文庫あ42-1) (祥伝社文庫 あ 42-1) / 感想・レビュー

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piro

食べものに纏わる6作の短編集。少し疲れた人たちにじんわり沁みて、心を温めてくれる料理の話が多かった。まだ温かさが残る鍋は明日になれば冷めてしまうけれど、一夜越え、また温め直せば一段旨みが増す。そして人もまた食べて、夜を越えて熟していくのだろうな。決して豪華ではないけれど、日々を生きていくために必要なエネルギーを心に与えてくれる一冊でした。『ひと匙のはばたき』のちょっとだけ異界を感じさせる所が好き。一番彩瀬さんらしいと感じた一編です。

2023/10/20

よっち

今がどれだけキツくても、おいしいがいつかきっとあなたの力になる。大切なあのひと口の記憶が紡ぐほろ苦く心に染み入る6つの連作短編集。手伝っている叔父の店を訪れる女性の苦悩、一緒に住む相手が時折頼んでくる悲しい思い出のパン、うっかり不倫してしまった妻の複雑な想い、仕事と家事の日々に疲れた妻と保育園仲間の逃避行、子供に先立たれたのに周囲に気を遣う友人、娘も構ってくれた趣味仲間の入院。辛く苦しい時に寄り添ってくれる人たちや優しく温かく癒してくれる料理の存在と、救いが垣間見えるそれぞれの結末が印象的な物語でしたね。

2023/10/27

mayu

誰かの為に料理を作ったり、食べたり。沢山の食べ物が出てくる6篇短編集はどこを切り取っても濃密。時に暗闇の中で見つけたものをお守りの様にして支えてもらわなければ生きていくのが心許なかったり、家事や育児、仕事に追われ自分の食べたいものすら忘れてしまっていたり、息苦しさから道を外れたくなってしまったり。その日常と共にある食べ物。友人の為に毎日料理を作る『シュークリームタワーで待ち合わせ』が1番好きだった。泣きながら食べたり、心に強く残る食べ物もある。生きることは食べることだなぁとしみじみ思う一冊だった。

2023/10/14

kaoriction@感想は気まぐれに

ざらざら。拭えないザラつき感とざわめく感情と。ほんわか、ほのぼのしたものを想起させるタイトルとは裏腹に残る ざらざら。苦い、味。かなしい、さみしい、せつない味。時々、懐かしく、微かなる希望の光が見えるような、味。でも、生きる ということは、かくやあらん なのかもしれない。美味しく、ほんわか、ほのぼの、そんなものだけが人生ではない。むしろ、そんなザラつきを苦々しくも噛み締め、迷い、悩み、泣きながら微かな光を求めて笑顔になれるように歩いてゆく。だからこそ、私たちは今日も 温かい鍋を抱き、食べ、生きるのだ。

2023/11/20

NAOAMI

苦しいときに美味しいものを食べて救われたとか、簡単に生易しくないのが人生。供する者が、それをいただく者が、それぞれの痛みに気づくひととき。そういう時間が必要なんだって教えてくれる物語集。各篇の視点人物とそこで語られる人々は、哀しさを背負って生きていて、背負ったまんま既に亡くなっていたりする。家族という形態に自分の好みすら忘れて身を投げ出してきた重みとか少し悲しくなってくる。気休めの言語化も、家族という縛りに縋りつくような意味はあるんだろうか。夜子に共感しつつ騙しだまし生きてく自分をエェ奴やなとホメてみる。

2023/10/31

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