夢を追う人 (アラスカの詩)
夢を追う人 (アラスカの詩) / 感想・レビュー
キジネコ
圧倒的で美しく厳しい、と評すことができる自然への賛辞は、そのまま表現者星野道夫の印象に繋がります。そして彼の視線がとらえる優しさが風の様に読者を包み命の水際を軽々と超えさせてくれます。極北の地平に立って彼はジッと見つめています。人々を、自然を、命の連鎖を。一個の生命にとって此の世界は不確定。彼の地へ引き寄せられ定住を決意し子をなす星野。しかし彼は、何処まで行ってもゲスト、旅人でしかない自分に溜息をつきます。アラスカの民への羨望、もっと言えば嫉妬なのか?と自身に問うてみれば大いなる自然が否と笑顔で答えます。
2017/02/07
ろくべえ
中1ブックトークで紹介。星野道夫さんという名前を言っても初めて聞くという反応。しかしこの本にも収録されている森の写真を見せると「あー!」と6年生国語の「森へ」を思い出す彼ら。星野さんの写真にはそれだけの力がある。16歳での単独アメリカ放浪の旅。その後、なぜアラスカに魅せられ、移り住んだのか。星野さんの人生がギュっと詰まったとても読みやすい一冊。しかし全ての言葉が美しく、重く、深い。
2017/11/21
nao1
この人は 大きな生命の塊としての地球を感じられる人だったんじゃないだろうか?日本とは対極の暮らしのあるアラスカで、研ぎ澄まされた五感からうまれる文章。アラスカの静謐な流氷のきしみ、インディアンでさえその場所を知ることができないトナカイの群れの足音、雪に吸い込まれる音なき音が聞こえてきそうだ。古代の廃村の朽ちたトーテムポール。言葉を持たないものが語りかける詩は美しく、そして哀しい。 また、この人は命に限りがあり、残された時間を早くから意識している、夭折することがわかっていたのだろうか。
2018/06/09
ヒラP@ehon.gohon
アラスカの大自然に魅せられて、いきなりチャレンジの扉を開けてしまった、星野さんのストレートで破天荒な人生の断片集です。 詩情と夢に溢れているところは、今までに読んだ写真集やエッセイより凝縮感があります。 言葉や風習や生活習慣の壁が、いとも簡単に乗り越えられているところ、すべてのものをあるがままに受けとめているところ、その姿勢、生き方には学ぶことばかりです。 最後はヒグマに襲われて命を失ってしまった星野さんですが、きっと悔いはないのでしょうね。
2014/07/30
せんとえん
「アラスカの詩」全3巻の一冊。児童書ということで、先日読んだ「悠久の時を旅する」より写真も文章も少ないが、世界観はそのまま。他の2冊も合わせて読みたい。
2021/05/06
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