中国民主化研究―――紅い皇帝・習近平が2021年に描く夢
中国民主化研究―――紅い皇帝・習近平が2021年に描く夢 / 感想・レビュー
BLACK無糖好き
「中国が民主化するとはどういうことか」との問いに対して極めて多面的な分析がなされている。習近平がタブーとなっている鄧小平の天安門事件への評価に取り組めるかも政治改革に必要なミッションだという。反腐敗闘争も法律や制度ではなく、時の指導者の性格や偏向に則った人為的な政治・権力闘争の色彩が濃いとの指摘。「外圧」として香港・台湾との関係からも中国民主化の可能性を深掘りしている。特に「米国は本当に中国の民主化を望んでいるのか」との視点から展開される考察は大変興味深い。全体を通してかなり読み応えありました。
2015/09/21
guanben
アメリカでさえ、対立軸がなくなるかもために、民主化を望んでいないという指摘は面白い。
2015/11/23
ばぶでん
中国問題で注目を集める著者の本。著者のダイヤモンドオンラインでの連載にもあったが、最も鋭いと感じられたのは、表面上、中国の民主的平和的台頭を求めている米国は、実は中国の民主化など求めておらず、中国が異形のままの台頭を果たせば果たすほど、世界各国が民主主義陣営のリーダ-としての米国によるヘゲモニーを支持し続けるという戦略を描いているという分析。これは文句なく一級品の洞察といえよう。中国共産党の支配の正当化根拠として、これからは安定や成長ではなく、公正や人権がポイントになるというのも説得力があった。
2015/11/25
Tetsuya Noguchi
今日の中国の政治を理解する為のポイントがぎっしり詰まっている本だと思う。中国の内政、香港・台湾のような周辺部、日中、米中といった外国との関係など、多面的な切り口で中国の民主化問題を分析している。彼の結論は、終章に書いてある。この結論を導きだす為の多面的な検証がこの本の内容。 『習近平率いる中国共産党が、西側諸国・文明で育まれてきた民主主義を”真似る”可能性は限りなくゼロに近く、たとえ中国が政治改革、そして民主化に舵を切るとしても、それは”中国の特色ある”という前提付きになる。』
2016/02/16
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