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不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生

不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生

不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生

作家
リチャード・シェパード
養老 孟司 解説
長澤 あかね
出版社
大和書房
発売日
2022-04-16
ISBN
9784479393887
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不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生 / 感想・レビュー

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アキ

実に人生を感じる本である。イギリスの法医学者として40年にわたる半生を振り返る。はじめは純粋に死のパズルを解く手助けがしたかっただけであった。結婚し子供が産まれても、殺人事件があれば飛んで行き、ナイフに関して専門家とみなされる程詳しくなった。歳を重ねて、裁判で弁護士に責められ、医者になった妻とは疎遠となり、遂に離婚に至る。DNAという新しい手法も導入され、益々変化に乗り遅れていると感じる。そしてこの本を書く。医師としての人生を振り返り、再婚し今に至る。いいことも悪いこともある医師の生き方にしみじみとなる。

2023/08/23

ちーちゃん

イギリスで著名な法医学者が、仕事で被ったPTSDの治療を目的に執筆した自伝です。世間を騒がせた大きな事件から小さな事件まで、様々な事件の経緯と被害者・加害者・遺族とのやり取りが詳述してあります。テレビドラマの様に、遺体の状況から正確な死亡推定時刻を割り出すことは不可能だと書かれており意外でした。感情の起伏が激しい遺族、やたらと目の敵にしてくる法廷弁護士、都合の良い診断を求めてくる警察、法医学について誤った知識を持つ世間を相手にする事から、ストレスの多い職業だと思いました。死者に対する敬意が好印象でした。

ゆのん

長年イギリスで司法関連の解剖を続けてきた著者の半生の自伝。日本でいう『法医学』『監察医』的な役割だろうか。少年期に出会った一冊の本から法医学者を目指す。殺人や事故、災害など自然死ではない『不自然な死』の解明に正に自身の全てを捧げる。長年のキャリアにおいて常に公正で真実のみを語り、死者と遺族に敬意を払い大切に対峙してきた著者。彼のような人こそこの職業には必要であり、死者の代弁者として相応しいと思える。500頁近いラストでは精神的苦痛を抱える著者の姿に涙してしまう。下手なミステリー物よりもドキドキさせられた。

2023/01/02

泰然

メメントモリ(死を想え)という言葉がある。意識してもしなくても人生の終焉は呆気なく誰にも訪れる。英国の法病理学者の半生と検死を通した事故事件の数々を読み進めるうちに、言葉にならない人生の悲痛さ、サスペンス作品以上にスリリングな死因解析、著者のライフと家族の話などがサイエンスと職業人生の世界に誘う。9.11テロの現場やダイアナ元妃の再検証にも携わった経験も述べられるが作品全体は淡々としている。これはイギリス人の「硬い上唇精神」なのか著者の性格なのかは不明だが、人として心身を磨くときの痛みは私達自身にもある。

2022/06/09

アオイトリ

読メのレビューより)専門的な内容かと思いきや、全く違う。夢中で一気読みしました。イギリスで司法解剖を行ってきた医師の自伝。常に誠実で、率直であろうとする著者に惹かれます。好奇心旺盛で解剖学に魅了された点は、ホームズのお国柄を彷彿とさせます。常に正しい判断を求められるプレッシャー、法廷での不毛なやり取り、仕事と家庭のバランス、中年の危機、そしてPTSD。カッコつけず赤裸々に告白できたから、乗り越えられたのかもしれません。「誰よりも叱責に耐えられる人が称賛に値する」で終わるポープの名言が応えました。

2023/01/08

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