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宮沢賢治 (ちくま学芸文庫 ヨ 1-3)

宮沢賢治 (ちくま学芸文庫 ヨ 1-3)

宮沢賢治 (ちくま学芸文庫 ヨ 1-3)

作家
吉本隆明
出版社
筑摩書房
発売日
1996-06-01
ISBN
9784480082794
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宮沢賢治 (ちくま学芸文庫 ヨ 1-3) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆ 宮沢賢治と法華経との関わりがこれほど強いと初めて知った。宮沢賢治を読む際のイメージが大きく変わった。宮沢賢治の物語は好きだが、人としては近寄りがたい人物に感じてしまった。生涯童貞というのもなるほどと思う。宮沢賢治が現代のように性風俗の情報にあふれた時代に存在していたら果たしてどうなっていたのであろうか?

2013/12/29

テツ

宮沢賢治と法華経との関係。そこから紡がれた彼の物語。人はきっと生まれてから死ぬまでずっと孤独で、ずっと寂しい。熱が感じられない無限に広がる冷え切った宇宙の中を孤独にただ一人歩いていく。それでも、触れられなくても、自分には決して届くことはなく、手に入れることはできなくても、温かさを幻視することはあって、誰かが包まれているその温かさのために自らを擲つ覚悟が生まれることはある。カムパネルラやグスコーブドリのような最期を迎えるために、今でも賢治を読み、彼の世界から離れないようにしている。

2021/02/16

うえ

「生命がよだかに生まれるか…鷹に生まれるか、あるいは人間に生まれるかは、前世の因果にもとづくと大乗教はかんがえる。だからじぶんが生物のうち何であるかは、悠久の生命の流れからは交換可能なものにすぎない…物語の源泉となっている感情は、この弱いものの性格悲劇と、自然のなかの生命維持にまつわる秩序と階層とが、からみあった場所にあった」「宮沢賢治じしんの思いこみでは、むしろ作品の本質の本質つまり作品の理念は、ここで片鱗をあらわしている「この人のほんたうの幸になるならというばあいの「ほんたう」の構造にあった」

2017/01/10

OjohmbonX

賢治を読むときの寂しさなどを、彼の生い立ちや宗教感、視点から理由づけていく。でもその理由が吉本隆明でなくても語れそうな、賢治以外にも適用できそうな話で困惑する。後書きで、思春期からずっと全力をあげてぶつかっても倒れない相手に出会えたと愛着を示してて、これは倒さないように、愛着を守るために書き尽くせなかったのかと邪推したくなる。むしろ隆明が賢治の何を引用して、どんな問いを立てたかを読むべき本かも。あと賢治は知人に「射精したことないのは世界で自分含めて三人だけ」と言った伝説があるという妙な知識が得られました。

2013/10/02

にしの

母系論や乳児期の記憶というものにやや傾斜しつつ、宮沢賢治作品のもつ特異性、それらはなぜ「わたしたちの自意識をたじろがせたり、苦笑させたり、白けさせたりする」のか、宮沢賢治特有の哲学、文体、嗜好について説明が試みられてゆく。「かれの作品の芸術性はさり気ない善意の出し合いで済むはずのものを、敏感極まる「ほんたう」をはかる秤に載せ、その時のふるえのようなものから来ている。だがそれを作品の理念として説くには、無骨きわまる手が必要となる。ここに批評が当惑する理由がある。」賢治の世界に感応しつつ探る困難さ。

2021/11/15

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