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江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫 や 38-1)

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫 や 38-1)

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫 や 38-1)

作家
山口瞳
出版社
筑摩書房
発売日
2009-11-10
ISBN
9784480426567
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江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫 や 38-1) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第48回(1962年)直木賞。 昭和30年代の東京の風景が 闊達に 描写された作品である。 東西電機に働く 江分利一家の行動が 微笑ましい。平凡な ありふれた日々が 出来事が 新鮮に 今に伝わる。 私小説風の 心落ち着く、作品だった。

2018/08/22

kaizen@名古屋de朝活読書会

直木賞】給与生活者のようで、没落事業家の師弟のようで、病弱家族のようで、平凡な, every man。戦争による景気の乱高下の波にのまれた父。高度経済成長の立ち上がり時期の、ステレオはじめ電化製品を広告する満。職業の位置づけが憎い。著者は、一見、斜に構えているようで、人間の本質的なおもしろさを書こうとしているのかもしれない。会社の寮にありがちな軋轢も。

2014/08/20

かえで

藤沢周平曰く「直木賞受賞作では一番の異色作」。小説?エッセイ?随筆?そのどれでもない。作者がモデルの小市民、江分利満(=Every Man。普通の人ということ)の日常、生活が徹底して描かれている。父親の事業の失敗、家族の病気、戦中派の戦争への嫌悪…三島由紀夫が「あれはいいね、ジーンとした」と絶賛したのも頷ける。「才能がある人間が生きるのは何でもないんだよ。宮本武蔵なんて、ちっとも偉くないよ、アイツは強かったんだから。本当に偉いのは一生懸命生きている奴だよ、江分利みたいな奴だよ」という所が本当に素晴らしい。

2015/04/05

空猫

【第48回直木賞】再読だった。自伝的エッセイのような作品。もはや戦後ではないと言われた時代。昭和元号と同い年の一介のサラリーマンが主人公。この時代の庶民の生活を知るには良い本である。その家族との日常を描きつつ、日本の文化が廃れつつあるのを憂いた何とも奥深い作品でした。

2024/04/07

Akihiro Nishio

筆者はサントリーの会社員イラストレーター。戦中に生まれ戦後にサラリーマントなった、江不利満(たぶん、エブリワンという意味だろう)という平凡な男の人生を通して、当時の大衆的な価値観、風俗を描く。明治生まれの事業家精神溢れる父と対置させることで、新しい世代のサラリーマン精神を描いたことが粋だったのだろう。当時のものの値段や、出来事、流行などが丁寧に描かれているので、昭和を知るには格好のテキストなんじゃないか。驚くべきことに1962年の直木賞受賞作らしい。しかもデビュー作で取ったという。エッセイ風小説で。

2017/04/20

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