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アジア沈殿旅日記 (ちくま文庫)

アジア沈殿旅日記 (ちくま文庫)

アジア沈殿旅日記 (ちくま文庫)

作家
宮田珠己
出版社
筑摩書房
発売日
2018-11-09
ISBN
9784480435552
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アジア沈殿旅日記 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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ホークス

著者はついに気づいた。何かを成し遂げたり、他人を凌駕しようとする旅はいらない。もっと本格的でない旅、非日常を味わうだけの旅が必要だと。全くその通り。仕事的ガンバリに背を向けた、ユルい旅の本を著者には書いて欲しい。本書はちょっと変わっている。ぽわんとした紀行文に、著者が旅について考えたあれこれと、日常が溶解するような幻想譚が割り込んでくる。こんな実験作が書きたかったらしい。全体としては中々楽しい。面白いのは著者が、自分はユーモア旅行記を書いてきた、と述べている事。ユーモアって、レトロでかわいい表現だ。

2019/10/24

saga

読み始めて抱く違和感。それは文庫版あとがきで明らかにされる。恐らく精神的なものと思われる不明な痛み「ペリー」と闘うために休暇旅行という仕事に出かける著者。台湾などのアジア、そして熊本の紀行文のクライマックスに表現される異世界は、『スットコランド日記』で著者がユーモア旅行記の裏に潜む著者の苦悩を知っているだけに、思わず精神の心配をしてしまった自分。私も著者と同じで、旅先でのポートレートよりも風景写真を撮りたい派。このあたりもシンパシーを感じるのだ。

2018/11/28

cithara

本書で初めて著者の写真を見た。神経質そうで苦み走った顔の男性。公表するからにはシブく見える写真を選んだのだろうか。でもこれまで抱いてきた著者のイメージ(ジェットコースターや巨大大仏に「ヒャッホ~!」する図)が瓦解した。今回著者の文章はすっかり内省的になっている。まさに「自分のなかに沈降して」いる状態。それは著者が患っている謎の症状<ペリー>と関係があるのか? 彼にとって旅がその症状から目をそらす手段であるなら、私にとっては読書がそれにあたるかも。彼自身も本書を異色作と言っている。以前の文章も好きなのだが。

2018/11/17

カツ

期せずしての再読。前回も思ったが哲学的・文学的な文章が多く、というかクスリやりすぎじゃね的な感じが凄く好きです。あとがきを読むとやはり意識してそうしてたのか。しかし、文庫化にあたりタイトル変更は反則だよな。新作かと思って借りてしまった。

2019/03/27

タカボー

宮田珠己さんの本は何冊も読んでるけど、これは異色。旅の意味を言葉にしようとしてる感じ。「中途半端な現実の持つ豊かさ」わかる気がする。新興国の綺麗なメインストリートからひとつ裏の路地に行ったらゴミだらけで悪臭漂うような場所だったりして、人が暮らしている以上完璧な場所なんてどこにも無くて、そのハリボテ感も味わうのも旅行の醍醐味でもある。ただ最初のペリーのくだりが良くない。最初に面白いこと言おうとして盛大にスベってる。どこがどうペリーなのか全くわからない。

2021/12/15

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