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「14歳」少女の構造 ――大塚英志まんが評論選集80’s-90’s (ちくま文庫 お-18-3)

「14歳」少女の構造 ――大塚英志まんが評論選集80’s-90’s (ちくま文庫 お-18-3)

「14歳」少女の構造 ――大塚英志まんが評論選集80’s-90’s (ちくま文庫 お-18-3)

作家
大塚英志
出版社
筑摩書房
発売日
2023-08-09
ISBN
9784480438997
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「14歳」少女の構造 ――大塚英志まんが評論選集80’s-90’s (ちくま文庫 お-18-3) / 感想・レビュー

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阿部義彦

ちくま文庫先月の新刊、やっと読めました。サブカルをリードした、批評家、漫画原作者(三流劇画ムーブメントを担った漫画ブリッコ編集長、著名な原作マンガは「多重人格探偵サイコ」等)の大塚英志さんが80~90年に発表した評論の寄せ集めです。少年漫画とは違う語りの水準を持つ少女漫画の複雑性故に大きく羽ばたいた24年組(特に大島弓子には、各漫画まで細かく触れられています。勿論ジェンダー論としても秀逸)、変態少女文字論、紡木たく、乙女ちっく、梶原一騎、楳図かずお、手塚治虫、吾妻ひでお、山本直樹、サブカル好きは必読!

2023/09/02

九曜紋

大塚英志を初めて知ったのは1989年の「少女民俗学」。本作では80年代から90年代のまんが評論を編集。元民俗学の徒であった大塚の筆致は明解で鋭いが、漫画家たちがどこまで自覚的であったのかはやや疑問。大塚が無理やり民俗学のナラティブに回収しようとしている可能性もある。私の認識では大塚はサブカル論壇の人間だったのだが、佐々木敦は福田和也、宮台真司とともに遅れてきたニューアカにカテゴライズする。「漫画」が「まんが」となり、サブカルチャーからメインカルチャーになったように、大塚自身もメジャーになったということか。

2024/01/13

ますりん

著者が80年代から90年代のマンガを取り巻く状況や作品への批評を取りまとめたもの。時代的にはポスト構造主義全盛期もあって、アプローチがちょっと鼻につく(自分もニューアカまっしぐらな時代だったの面映ゆさも含め)。ただ中にはとんでもなく鋭い視点・論点もあって、さすがは大塚さん。特に、(今まさに諸々ホットな)ノスタルジー需要というサブカルチャーはすべからく商品であるという視点を持て、というくだりと、その根底には「語るべき過去」を持たない人々の「想い出づくり」への強迫観念があるという論点はハッとさせられた。

2023/12/09

キュー

学が無い人間なので評論とかいうととにかく事象をいろんな事にこじつけて語ってるな〜という印象になってしまう。大塚英志さんもよく民俗学なんかになぞらえて語ってるんだけど、やっぱりそういう一定のパターンっていうのはあって無意識にせよ物語というのは大昔からそういう物なんだなぁと納得してしまう。民俗学に興味は出てきているものの柳田國男なんかの著作の引用で旧仮名遣いなのを見る度に上手く読めなくてげんなりして二の足を踏んでしまうんだよなぁ。まぁ厚くて読み応えありました。

2023/10/15

YOK_1111

1972年を境に社会のダイナミクスは、革命と反革命から、資本と大衆へと変化したのでは。その大衆のバイブルとも言えるコミックを、著者は民俗学的な視点を用いつつ、意味づけた。同時代評論は、その時代に敏感でなければ書けず、歴史的な大局観がなければ残らない。本書は、論じられた数々のコミックよりも長く、現代史に影響を与えているように思われる。70年代の香りを思い出し、懐かしかった。

2023/10/08

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