海をあげる (単行本)
「海をあげる (単行本)」のおすすめレビュー
「今月のプラチナ本」は、上間陽子『海をあげる』
『海をあげる』
●あらすじ● 「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」──大学で教鞭を執りながら、幼い娘と普天間に暮らす著者が綴る、沖縄の日常。性暴力や基地問題など理不尽な暴力におびやかされ、言葉に表せない苦しみを抱えて沈黙しつづける沖縄の人々の想いを、研究者として、そして母として、丁寧に聞きとり記録した初めてのエッセイ集。 うえま・ようこ●1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。90年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。16年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)を刊行。現在は若年出産女性の調査を続けている。共著に『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(ナカニシヤ出版)など。
上間陽子筑摩書房 1600円(税別) 写真=首藤幹夫
編集部寸評
言葉にならないものを言葉で伝える 本を好きなあなたは、日常的に言葉に触れているはずだ。言葉によっ…
2020/12/4
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海をあげる (単行本) / 感想・レビュー
starbro
「本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞」ノミネート作という事で読みました(3/6)。上間 陽子、初読です。ノンフィクションというよりもエッセイに近い雰囲気でした。沖縄の各種社会問題の根の深さを感じました。 https://www.chikumashobo.co.jp/special/umiwoageru/
2021/11/07
trazom
琉球大学の教育学の教授で、非行少年少女の問題等に取り組んでおられる上間陽子さんが、家族(夫、祖父母、母、娘)、友人たち、性被害に苦しむ若い少女たちのことや、沖縄の基地のことなどを綴ったエッセイ集。文章の奥に潜むエネルギーのマグマが、読み手に迫ってくる。愛、共感、怒り…対象に対する著者の感情の量はとてつもなく大きく、その感情量に、涙腺が何度も刺激される。著者の沖縄に対する思いの深さが、その悲劇を放置し続ける政府や本土の無理解への怒りとして迸る。このエッセイの骨太さが、沖縄の人たちの心を象徴しているのだろう。
2022/01/26
みどどどーーーん(みどり虫)
読み友さんのレビューに惹かれて。苦しい読書で、薄い本なのに気が付いたら涙が流れていたことが何度も。それで昨日読み終えていたのに、いつもはほぼ読後の勢いで書いているレビューがなかなかまとまらなかった。一日置いて新たな気持ちで書き出してるけど、「その海と上間さんの想いはもらいました。私には抱えきれないけど、この先も持っておきます」とだけしか…。上間さんの『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』も読もう。まずは知ることから。知って考えることから。風花ちゃんがその街を愛し続けられますように。読めて本当に良かった。
2021/09/12
おしゃべりメガネ
沖縄に縁のある方が読むとグッとココロに響く一冊なんだろうなと思います。沖縄の問題はもちろんこの他にもたくさんあるのでしょうが、やはり鮮烈な出来事としては米兵による小4女子強姦事件ですね。本当にショッキングな事件で、他にも闇に包まれている事件や出来事が多数綴られています。貧困の話やPTSDの話など、読んでて胸が苦しくなる時間や場面が多数ありました。しかし、こういった現実から目を背けていては決してならないコトも胸に刻むコトができました。改めて、自分の身の回りの平和、平穏さに感謝しなければならないなと思います。
2021/12/05
ひこうき雲
「重い」と感じるということは、自分がどれだけ辛い目にあわなかったか、もしくは現実に向き合わなかったかということ。
2021/01/03
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