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刑罰

刑罰

刑罰

作家
フェルディナント・フォン・シーラッハ
酒寄進一
出版社
東京創元社
発売日
2019-06-12
ISBN
9784488010904
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刑罰 / 感想・レビュー

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starbro

フェルディナント・フォン・シーラッハは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。刑罰と訴訟のダークで人の闇に踏み込む、著者真骨頂の連作短編集でした。オススメは、『参審員』&『リュディア』&『奉仕活動』の3本です☩☩☩

2019/06/26

紅はこべ

現在の日本が罰を受けるべき人が罪を逃れているという状況なので、検察や判事職にある人にこの本を読ませたいと思った。そしてどんなに心証が真っ黒でも、法に則れば、釈放せねばならないというジレンマ。「奉仕活動」が特に辛かった。女の復讐は巧みだ。ラストの一編は、フィクションなのか、シーラッハの実体験なのか。

2019/11/15

ケンイチミズバ

だれしも自分が納得いく生活を営む権利があり、他人に害を及ぼさぬ限り国家はそこに関与しない。パートナーへの行為は攻撃であり、被告人の凶悪さは妻を暴行された人の反応と大差ない。しかし正当防衛の範疇を超える。裁判長がなんと言おうがあれは必要な行為だった。ラストはシーラッハのパターンとは言え突き刺さる。ラブドールは性的嗜好品でもあるが、人間のように愛情を注ぐ人が少なからずいる。留守中に損壊された行為は妻へのレイプにも等しいと司法が判断するのは欧州ならでは。日本ならこの裁判はスポーツ誌が変態とか見出しを付すだろう。

2019/07/01

ケイ

デビュー作『犯罪』 を思わせる内容だが、一つ一つが濃厚で円熟度がさらに増した短編集。裁かれなかったが、残る罪。司法の原則は情緒に左右されてはならない。立証できない罪は裁けない。しょうもない犯罪者を弁護せねばならぬ弁護士の葛藤。それらは人を破壊する。『参審員』陰鬱。カタリーナの心の痛みにひどく共感した。 『逆さ』これは子気味よかった。ヤセルが最高。蛇の道は蛇、餅は餅屋ってことか。『湖畔邸』~法治国家は、真実を明らかにするためだからといって何をしてもいいわけではなく、自らに制限をかける。それを貫く姿勢に感服。

2019/08/04

のぶ

自分はこういう短編集の感想を纏めるのがとても苦手だ。決してつまらないわけではなく、むしろ短い中に深いものが詰まっている。多くの作品が犯罪に関する、裁判、弁護、銃等を取り入れた犯罪小説集になっている。異様な罪を犯した人々の素顔や、刑罰を科されなかった罪の真相。ここで描かれているのは、人間の残酷さや正義に入り混じっている人間の性(さが)文章は読みやすいのに内容は重く、じわじわと圧し掛かっている。過去のシーラッハの本もすべて読んでいるはずだが、本作でも、らしさが存分に出ていた一冊だった。

2019/06/27

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