教養としての「ローマ史」の読み方
教養としての「ローマ史」の読み方 / 感想・レビュー
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ロムルスの建国から西ローマ帝国滅亡まで千二百年、ビザンツ帝国滅亡まで二千二百年という長く壮大な古代ローマの歴史をたどり、ローマがなぜ繁栄し滅びたかに迫った一冊。コンパクトにまとめられながら、歴史のダイナミズムが感じられて面白かった。共和制、帝政、軍人政権と変遷する中で、戦乱、異民族の流入、経済の停滞、インフラの老朽化などを経験し、当初持っていた異民族や宗教への寛容さを次第に失っていくのは、現代の我々に繋がるようだ。元々好きだった世界史だが、学生の頃、世界史の授業で感じたワクワク感を思い出した一冊だった。
2019/01/28
ひろき
Audiobookにて。ローマ史に興味があるが、ローマ人の物語に踏み切れず、まず本書に挑戦。ローマの栄枯盛衰から現代史の類似性が見えて面白かった。王政・ロームルス、共和制・カエサル、帝政・オクタヴィアヌス、五賢帝・トラヤヌス、軍人皇帝時代・ディオクレティヌス、東西帝国分裂・コンスタンティヌスとローマ1200年史の流れと要人を確認できた。学びは3点。ローマ人の寛容さと信仰深さが帝国拡大の原動力。奴隷制のイノベーションに対する弊害。多神教主体の古代における一神教の特異性。次はローマ人の物語に挑戦したい。
2019/04/01
かんやん
ローマ建国(前753)から共和制への移行(前509)、カエサルを経て、オクタウィアヌスの皇帝就任(前27)、それから五賢帝によるパクス・ロマーナあたりまで、興味深く読める。それにしても、早くも三代目カリグラ暗殺、四代目クラウディウス毒殺、五代目ネロ自殺とは。五賢帝の後は、もう暗殺に継ぐ暗殺。色んな殺され方があるものだ。235年からの軍人皇帝時代は、50年に70人、元老院が認めたのは26人、平均在位期間3年、その内24人が暗殺又は戦死。ゆく川の流れが如く、かつ消えかつ結びて、もはや誰が誰やら。
2020/10/27
まさにい
木村さんは、ローマ滅亡の一つの理由として寛容性の変質を上げている。滅亡の理由に寛容性という言葉をあてはめた書物は高坂正堯氏の『文明が滅亡するとき』を読んで以来であった。高坂氏の寛容はその内容が今思うと書かれていなかったが、本書で、寛容性の内容が書かれている。ローマがキリスト教を受け入れた理由も何となく理解できた。今世界で一番寛容な国家はオランダでると司馬さんは語っていた。個々人の自由を前提とした寛容性とは何なのか。これは難しい問題であるが、絶えず頭の片隅に置いておく課題としていこうと思う。
2018/05/13
スー
105ローマの歴史を分かりやすく纏めていて早足で学べる本です。ローマ崩壊の原因は学者により200を超えるそうですが筆者は主な原因としてローマ人の非寛容にあり、新たに移住してきたゲルマン人を受け入れられなかった事だとしていて、現在のアメリカとヨーロッパの移民の拒絶がローマと似ていると危惧しています。自分はローマ崩壊の原因は国への奉仕を嫌うようになった事と権力の源が民衆の支持だったのが権力=武力に為った事だと感じてました。かつては富を得れば道を作ったり公共施設を寄贈する事を栄誉とし厳しい軍規を守り隊列を組み
2019/07/12
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