偶然の日本文学 小説の面白さの復権
偶然の日本文学 小説の面白さの復権 / 感想・レビュー
7ember
中河与一がハイゼルベルグの不完全性定理を(いささか性急に?)援用して執筆した偶然論が昭和10年前後(1930年代)に論争を巻き起こしたとのこと。それはマルクス主義の必然論を打ち返すためのものでもあったらしい。後半は作品論になりちょっとトーンが変わった印象だった。檜垣立哉の『賭博/偶然の哲学』の競馬論は面白いですよね~。
2024/01/03
兵頭 浩佑
「小説の面白さとは何か。これが私の研究したい一番の対象である」とあとがきには書かれている。なんとも清々しく、そしてほっとする言葉ではないか。 このような最も基本的な問いが、批評家からも哲学者からも、そして何より作家自身からも聞かれなくなって久しい。それに呼応するかのごとく、それぞれが場当たり的に身辺雑記を繰り返しながら、五大誌の部数は1万部を切る所まで来たのが今、令和3年という時代だ。 ここにおいてもなお、まだ文学などと言いたいのであれば、"学"と謳うのであれば、もう一度この最初の地点からやり直そう。
2021/04/07
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