触感の文学史 感じる読書の悦しみかた
触感の文学史 感じる読書の悦しみかた / 感想・レビュー
田中峰和
中学生の頃読んだ川端の「雪国」を大学生で再読して、驚いたことから話を始める著者。島村が人差し指を眺めながら、女の触感を思い出し鼻に着けて匂いを嗅ぐシーンだ。中学生のときは男女の性的な描写に気づかないで、純粋な恋愛物語と解釈してもしかたない。経験不足からでもあろうが、人は書かれた文字やその内容を読み飛ばしてしまうもの。小説を読む際にストーリーが第一義との意見もあるが、作者が読ませたいのは文章表現の工夫や独自性もあろう。立体造形と触覚を語るとき、乱歩の「人間椅子」「盲獣」を紹介。触感の文学50選も参考になる。
2016/07/03
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