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こころの旅 (ハルキ文庫 す 5-1)

こころの旅 (ハルキ文庫 す 5-1)

こころの旅 (ハルキ文庫 す 5-1)

作家
須賀敦子
出版社
角川春樹事務所
発売日
2018-06-13
ISBN
9784758441797
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こころの旅 (ハルキ文庫 す 5-1) / 感想・レビュー

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KAZOO

須賀さんのさまざまなところに発表されたエッセイを、ご自分のこと、イタリアでのこと、本についての話と3部仕立てにしてくれて楽しめました。いくつかは読んだことがあるのですが、とくに最後の本に関するところはいつもながら楽しめます。読んでいて時間がたつのを忘れさせてくれました。

2018/10/10

ふう

年譜によると作者は1929年生まれ。戦後欧州へ留学し、イタリア人と結婚、そして永くイタリアで暮らしました。「自分の足にぴったりの靴をもたなかったせいか、行きたいところ行くべきところに行っていない」とありましたが、それが具体的な場所を指すのか、タイトルのとおり心の場所を指すのか考えさせられます。詩人サバの章や日記は難しくて文の上を目が通り過ぎただけですが、家族や友人の話は失われてなお作者の中に生きる大切な記憶に、作者の深い愛情と寂しさを感じました。

2018/08/07

aika

アンソロジーだからこそ、小説家であり、ひとりの女性である須賀敦子が生まれた軌跡を立体的になぞれました。読んだことのある作品も、日記や書評など初めて読むものも、全部がどこか新鮮です。自身の家族にまつわる遠い幼少のころの記憶、やがてフランスそしてイタリアへと渡り、日常を紡いでいく記憶。その断片には必ず文学が下支えしている実感がありました。特に印象的だったのが、イタリア旅行の際にバスで耳の聞こえない子供たちに出会う場面。目の前で生きるひとたちの心の奥をそっと見つめる温かな須賀さんの想像の力を強く感じました。

2019/10/27

ぶんこ

私の母の年代の方が、若くしてフランスやイタリアに留学していたというだけで驚きです。幼い頃からの生い立ちや聖心での学生時代も、想像の外で興味深かったです。本ばかり読んでいるのを咎められるくだりは、共感大でした。美しい文章と、私には少し高尚な内容も多くて、遥かな高みで微笑む著者でした。

2018/12/13

ワッピー

おそらく初の須賀敦子。30年前から気になっていたものの、ようやく手に取る縁ができました。本書は16編のエッセイや日記を収録。イタリアに渡って過ごした日々をちゃんと読まなければと思いますが、まずはここに採られた2編、ミラノでの生活を俯瞰した「街」、思いがけぬ邂逅「チェザレの家」がお気に入りになりました。実は、須賀敦子を追いかけた岡本太郎の著作のどれかに収録された「麦畑の向こうにそびえる大伽藍の写真」に惹かれて興味を持ち続けたのかもしれません。本人も、岡本太郎も気になって、どこから手を付けたものか悩み中です。

2020/10/22

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