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スヌーピーがいたアメリカ: 『ピーナッツ』で読みとく現代史

スヌーピーがいたアメリカ: 『ピーナッツ』で読みとく現代史

スヌーピーがいたアメリカ: 『ピーナッツ』で読みとく現代史

作家
ブレイク・スコット・ボール
今井亮一
出版社
慶應義塾大学出版会
発売日
2023-07-20
ISBN
9784766428995
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スヌーピーがいたアメリカ: 『ピーナッツ』で読みとく現代史 / 感想・レビュー

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kan

現代において、なんとなく読んで楽しむ分には気付かない政治性がスヌーピーの漫画には濃厚に存在していたことがよくわかった。ベトナム戦争との関係、黒人キャラクターを登場させること、女性解放のコンテクストを登場人物に語らせることなど、リアルタイムでは相当な議論を巻き起こし、時代を切り取る政治漫画、風刺漫画としても成功していたことを深く論じており、当時のアメリカ史を興味深くたどることができた。もっとどぎついシンプソンズ等に人気が取って代わられたという文化動向も含め、Peanutsの同時代性と独自性が際立つ。

2023/11/26

くさてる

スヌーピーを生み出した「ピーナッツ」とその著者であるシュルツの人生を追い、「ピーナッツ」が時代に及ぼした影響について分析した一冊。ベトナム戦争、人種論争、キリスト教といた、あくまでアメリカ文化の話なので、実感しづらいところもありましたが、面白かった。ただ、図版の少なさ(「ピーナッツ」に関してはほぼ皆無といっていい)がもったいないのですが、それにはちゃんと理由があってちょっと気の毒だった。

2023/09/13

dzuka

WWⅡ後のアメリカが抱えてきた問題について、ピーナッツの著者シュルツさんがどう作品にメッセージを盛り込んだかを紹介し、それに世間がどう反応したかを解説していく学術書。 初めてピーナッツを読んだときに、実にいろんなキャラクターがいて、特に女性が違和感なく活躍する内容に感銘を受けたが、それに至ったのに、こんなにもアメリカ内の様々な議論を受けていたことが衝撃だった。特に黒人キャラクターのフランクリンの登場までに、実に様々な動きがあったことが印象的だった。 なかなか難しいテーマを、うまく読ませてくれる作品だった。

2023/12/03

八八

世界で愛されるキャラクターであるスヌーピーとチャーリー・ブラウン。世界中で愛されるコミックであるが、この作品が連載されていた時期は、まさにアメリカがソ連と覇権を争っていた冷戦の真っ只中であった。本書は、一見すると政治とは無関係にみえる『ピーナッツ』と著者のシュルツを軸に、冷戦における政治問題やその社会を作品を通して照射する。文化史の論著にもかかわらず、難解な理論を用いずに叙述しているため、読みやすく纏まっており、理解も容易く、非常に面白いのでオススメの著作である。

2024/04/02

きりんの姉さん

スヌーピーを通して語られるアメリカ現代史のトピックは多岐に渡り、それぞれ読み応えがある。スヌーピーファンは必読(掲載先につけられた「ピーナッツ」という題を作者は嫌っていたという)。作者は敬虔な福音派だった。60年代のカウンターカルチャーと物質主義隆盛の時代、テレビ番組でクリスマス本来のメッセージを伝えるべく、ライナスに聖書の降誕の一節を語らせた。このシンプルなメッセージが感動の嵐を呼び起こしたという話で、アメリカ国民の宗教性を感じた。スヌーピーがその時々の国策に深く関わったということも初めて知った。

2023/11/09

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