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伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫 第 1期94)

伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫 第 1期94)

伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫 第 1期94)

作家
伊藤比呂美
出版社
思潮社
発売日
1988-11-01
ISBN
9784783708490
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ジャンル

伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫 第 1期94) / 感想・レビュー

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yumiha

「おじさんたちのスケベ心を手玉に取って来た」(『読んじゃいなよ!』より)伊藤比呂美だから、エロスとタナトスが満載。でも、そんな刺激性の強い言葉から立ち上がるものこそ、伊藤比呂美の本質だと思う。美辞麗句は建て前で終わり人を縛るが、そこからはみ出す物こそ本質だと思う。たとえば妊娠出産のときに私は、動物たちと同じ行為だと思った。また、熊本の「ボシタ祭」の掛け声の「滅ぼしておめでとうございます」「いやさかさかさかさのさのさ」が詩に何度も取り入れられているが、そこんとこだと思った。機会があれば朗読を聞いてみたい。

2017/11/02

Tui

おんなである。恋に生きても、男と探りまぐわい戯れあっても、妊婦となり母となり子を殺しても(もちろん詩の世界で、ですよ)、草深く生い繁る肥沃な土の匂いがする、大地のような、おんな伊藤比呂美。ゆったりと包み込み、とんと突き放す。その動きは、一瞬たりとも読み手を安心させない。小動物のような愛らしさと、雌ライオンのような容赦のなさをあわせ持つ、全方位向かうところ敵なしの、つまり男なんかかなわない生きものだ。溺れたい。

2015/07/21

ぅぅ、ぅげぇ。凄すぎる。剥き出しの丸出しにも程がある。神懸かってる…というより真逆で、日常すぎる。あまりも日常を正視しすぎているのだ。普通なら目を背ける所を凝視して装飾なく率直に書いているからこそ、抉り取られるような感覚に陥る。好き嫌いはあれども、ほとばしるエネルギーは誰もか認めざるを得ないだろう。特に〈テリトリー論2〉はとてつもなかった。滅ぼしておめでとうございます滅ぼしておめでとうございます滅ぼしておめでとうございます

2014/01/17

oz

初読。伊藤比呂美はラ・メールを代表する詩人で、本物のエッセイストで、小説家だ。特に小説と詩の境界線上の仕事に注力してきた。現代詩との出会いが伊藤比呂美であった人は多いと思う。堕胎・子殺しを歌った名詩『カノコ殺し』では「滅ぼしておめでとうございます」という寿ぎの詩句が繰り返される。性や生理など女性の肉体に深く根ざしつつも、セクシャルな猥雑さから脱した詩の文体(スタイル)が伊藤比呂美の詩を伊藤比呂美の詩たらしめる強力な担保となっているのは間違いない。

2011/09/23

不在証明

「カノコ殺し」―おぉ    と、声にならない。滅ぼしておめでとうございます。この言葉の破壊力は如何様か。破壊力と言うくらいだから、何かを壊すほどの力、きっとどこか知らず知らず壊されて、壊れて、壊れたことに気付かなくて、見ている景色がまた少し変わる。そういう素敵な体験。いやなに冷静でいられない、なんて生々しくて肉感に満ち満ちているのだろう。滅ぼしておめでとうございます。

2016/07/31

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