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文学賞の光と影

文学賞の光と影

文学賞の光と影

作家
小谷野敦
出版社
青土社
発売日
2012-06-22
ISBN
9784791766598
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文学賞の光と影 / 感想・レビュー

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中玉ケビン砂糖

、「エンタメと純文学」はどう違うのかと耳にたこができるくらい今まで質問されてきたが、「小説の本眼は人情にあるのであって、世態風俗はこれに次ぐものである」(坪内逍遥『小説神髄』)、ということが言われてしまったので、これにより「なんとなく感じたこと、気持ち」をそのまま書くことこそが芸術、つまり伝統的な日本の私小説がいちばんエラい、というイメージが読者間だけでなく、作家間でも共有されることになってしまった悪弊ができてしまったのだった

2015/03/13

さよならキダ・タロー・寺

帯に「怨念の書」「なんであいつが貰ってこの俺が」とあるのが良い(笑)。確かにそうだよなぁ。私は賞も出世も望まない人間だと自分の事を自惚れていたが、二十代の頃、出世の話が来たらあっさり受けてしまった事がある。私がもしも文筆家なら、どれだけカッコつけたところで賞が欲しくて悶絶するだろう。2012年発行の本だが、この当時からボブ・ディランのノーベル文学賞が噂されていたとは知らなかった。ゴシップも多く楽しく読了。ラストに各賞の歴代受賞作と候補作の中から著者が良いと思ったもののリストがある。いくらか読んでみたい。

2017/02/28

佐島楓

文章がしばしば脱線するため、読みやすくはないが、文壇に興味があったり各賞に詳しくなりたい読者には、得るものがあるのではないだろうか。新人賞を受賞しても書き続けられなくなる作家の多さに、この世界のシビアさ、難しさを感じる。

2018/03/27

パブロ

文学賞をめぐるドロドロのゴシップって面白いよね〜。おまけに、賞に縁遠い著者のルサンチマンがドップリと味付けされているし、綿密に読みこなされた文献の多さたるや、そこら辺の文学賞関連本を遥かに凌駕している。名高い賞を獲ったからって、その本が文学史上において重要かっていったらそうでもないことが白日の下にさらされているしね。文学者だって人の子だもん、◯◯賞受賞者って肩書きはほしいよね。それにしても、円地文子が谷崎賞選考委員をしているにも関わらず同賞を獲った際に、選評を丸々使って批判した武田泰淳、カッコいい!

2015/07/09

梟をめぐる読書

今の時代、文学賞の種類や傾向、歴代受賞作など知りたければネットの情報で事足りる。むしろ年ごとに更新されていく情勢を反映できないぶん書籍は不利ともいえるわけで、ではなぜこんな本を読んでいるのかといえば、それはもちろん小谷野敦による膨大な量の私見やゴシップや茶々のため。しかしまあ、選考委員が自分の著作を受賞させちゃうとか、配偶者に受賞させちゃうとか、無いと思ったら意外とあるんですね。全体的に満足だが、笙野頼子の話題を不自然に避けているのと、ポプラ小説大賞の『KAGEROU』問題について言及がないのが惜しい。

2012/09/20

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