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まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)

まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)

まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)

作家
イタロ・カルヴィーノ
Italo Calvino
河島英昭
出版社
晶文社
発売日
1997-08-01
ISBN
9784794912435
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まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの) / 感想・レビュー

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mocha

大砲に吹っ飛ばされて右半身だけになってしまった子爵。故郷へ帰った彼は、極悪非道なふるまいで恐れられるが、ある日左半身も帰郷を果たし…。悪徳と美徳に引き裂かれた子爵と、振り回される村人達にさまざまな寓意が読み取れる。児童文学の体ながら、戦場の遺体や癩病の娼婦などの描写はかなりエグい。戦争の影が濃い時代、情操や倫理なんて頓着しなかったんだろうな。少々読み難い文章は『百年の孤独』を思い出させる。なかなか興味深い本だった。

2017/07/04

NAO

砲弾を受け真っ二つに引き裂かれた子爵の半身が別々に行動することで巻き起こる騒動の数々。完全なる悪はもちろん良くない存在とされるが、完全なる善も人々の迷惑となるという皮肉は、いろいろと考えさせられる。絞首台を作らされた大工の親方の矛盾した二つの感情も、なかなか嗜虐的。

2017/11/26

UK

表紙絵と本の造りは一見子供向けだけど、内容は示唆に富む寓話。人に内在する善と悪。誰しもが両面を持つからこそ、それぞれ単独では人の世では扱えぬ半端なものになる。悪はともかくも、善が文字通り独善となって煙たがられるのが笑える。結構あっさり人を殺しているからね、寓話なればこそなんだろうけど、善悪の対比が強烈で、ほんの数ページ挿入された挿絵が長く印象に残る。

2017/06/30

kasim

善と悪の半身づつに分かれてしまった子爵。寓話的で読みやすい分、『木のぼり男爵』より弱いかな。でも冒頭の戦場の悲惨な迫力や、絶対善は悪と同じように非人間的という考察はさすが。「悪半だ!悪半が来るぞ!」という人々の叫びが恐ろしくもおかしい。孤独な良い子である語り手の少年がいい味を出していて、最後の場面はちょっと胸が熱くなりました。

2017/04/08

ゆーかり

砲弾によってまっぷたつに引き裂かれたメダルド子爵。右半分は善半、左半分は悪半となって戻ってくる。縦半分にまっぷたつになってそれぞれ生きているなんて、さぞかしユーモラスな話なのかと思ったら、最初から結構残忍でちょっとびっくり。悪半だけでなく善半も厳しすぎたり自由や楽しみを奪われたと疎まられ。正論だけでも駄目なんですよね。「完全」に戻っても欠けたものとして己を感じていた「ぼく」は、責任と鬼火に満ちたこの世界に残されている。予想とはちょっとは違った雰囲気の奇妙な寓話。

2019/06/23

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