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フォトグラフ

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作家
エマニュエル・ギベール
ディディエ・ルフェーブル
大西愛子
出版社
小学館集英社プロダクション
発売日
2014-02-26
ISBN
9784796871792
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フォトグラフ / 感想・レビュー

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りー

『アランの戦争』が良かったのでエマニュエル・ギベール2作品目。写真と絵の捻らないコラージュで淡々と進むルポタージュなのだけれど、この「淡々と」というところがこの作家のミソで、さりげないながらも魅力的な間が描かれている。アフガニスタンのありのままの姿に、読んでいる最中幾度も目を伏せる。惨状に心を痛めたからじゃない。今まで何の努力も苦労もせずにぬるま湯の様な世界から踏み出そうともしなかった、そして今も踏み出そうとしない臆病な自分が恥ずかしいからだ。

2016/09/10

内島菫

1986年にフランスの国境なき医師団とともにパキスタン・アフガニスタン国境付近を旅した写真家のルポルタージュ。そのせいか、写真とB.D.が違和感なく融合していてとても興味深いフォーマットを形作っている。たいてい写真家本人は絵として描かれ、写真は数枚(現地の人の撮影したピンボケ写真も含めて)しか組み入れられていないため、写真家=語り手の方がどこかお話の中の人物で、語られているもの=写真の被写体(人物や動物、風景)の方がむしろ有無を言わさぬ現実味をちらつかせる。

2018/08/07

ぱせり

国境なき医師団MSFと共にアフガニスタンを旅したカメラマン、ディディエ。どんな負傷者も区別しないで治療するMSFからの戦争の眺め(?)は驚くばかり。治療を受ける子どもの将来を思うと暗澹とした気持ちになるが、アフガニスタンの人々の文化・習慣について、欧米の価値観を土台にして断ずることの傲慢さも思い知る。ディディエの過酷な帰路があって、なお繰り返し「医療設備が整っていない戦地の外科活動」に戻ってくる医師たちの存在、「でも旅については、世界一美しい国を見ることになる」という言葉が、大きな意味を持って響いてくる。

2014/09/04

緑虫@漫画

1986年のアフガニスタンでのドキュメンタリー的な要素はあくまで表層であって、やはりこの作品の中で真に注目すべきはギベールの伝えるアフガンの大地の美しさだろう。世界の美しさに仮託して現地で起こっている悲劇を誤魔化すでもなく、逆に景色の描写に凄惨な現実を反映させて美しさを濁らせるでもない、その匙加減が絶妙。このあたりに「アランの戦争」でも発揮されていたギベールの作家的資質が現れている。

2014/03/05

hobby no book

漫画のなかに写真を織り交ぜながら、ルポと自省がつづく。文章はそれなりにあるけれど、使われている言葉はシンプルなので、臨場感もストレートに伝わってきていい。

2017/03/20

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