ルポ西成~七十八日間ドヤ街生活~
「ルポ西成~七十八日間ドヤ街生活~」のおすすめレビュー
偽名OK、前科不問の仕事募集!? 西成あいりん地区で暮らした78日間のルポが文庫に
本日発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 《以下のレビューは単行本刊行時(2018年9月)の紹介です》
『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(國友公司/彩図社)
大阪府大阪市西成区の北部、JR新今宮駅の南側に位置する通称「あいりん地区」。日雇労働者が多い地区。1泊800円~1500円くらいで泊まれる日雇い労働者向けの簡易宿泊所が立ち並んでいる。最近では海外からのバックパッカーたちにも人気で、ユーチューバーたちの「泊まってみた」もよくあるネタだ。
でも実際のところ、このエリアにはどんな人たちが集まり、どんな暮らしを営んでいるのか。そんなことに関心がある方に読んでいただきたいのが『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(國友公司/彩図社)だ。
著者の國友氏は、筑波大学を7年かけて卒業したものの、出版社へ就職できずにフリーライターの道を選ぶ。そして彩図社を訪れた際に「原稿が面白ければ本にする」…
2020/10/20
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ルポ西成~七十八日間ドヤ街生活~ / 感想・レビュー
kinkin
国立の一流大学を卒業した著者が、大阪の通称あいりん地区で仕事をしながら底に住む人たちのことを中心に取材した本。あいりん地区には行ったことがないが報道番組で見聞きしたことがある。著者は日雇いの仕事をみつけ簡易宿泊所というところに寝泊まりする。そこには覚醒中毒や元やくざ、手配師、素性不明の男たちと出会う。ただそこからの取材の部分が浅掘りというか、暮らしている人たちの奇行紹介に終止しているようにも感じた。かれらを見て何のために生きているのだろうという感情の落とし所がイマイチわからなかった。図書館本
2021/12/16
TANIZAKI
名古屋駅近くの笹島も西成ほど劣悪では決してないが、手配師が多く集まる処。大学生達たちと専任の職人も同じバンで現場へ。ユンボに土嚢袋、高所作業。確かに安全軽視。解体会社の社長はヤクザ。職人を借金漬けにして家族と一緒に飯場に住まわせる「債務の罠」。どの位の家族を見ただろう、勿論、夜逃げした家族もある。"西成"の男達にしか見ることのできない境地というものがあるのかもしれない。自分を捨ててしまったという感情。自暴自棄と言えばそれまで。どうしようもない運命。でもこの街は楽園。行き場を失った人々にとっての楽園だった。
2021/05/27
TANIZAKI
【再読】過去、労働者の待遇、生活環境の劣悪から来る正当に扱われていない怒りで、交通死亡事故をきっかけに暴動が発生した。社会から疎外された労働者は、経済的利益から血縁、地縁を捨てる。同じ境遇の人々が集まり蓄積された"不満・怒り"が暴動を引き起こす。現在は、密から疎に移行されエネルギーは分散。でも、疎外された人々は、引きこもり(40-64歳:60万以上)として存在する。ほとんどの人が事件を起こすことは無い。しかし、社会を揺るがす事件は、鬱積した怒りを抱える人物が引き起こすことも事実。
2021/09/01
TANIZAKI
【読むに当たって】本書を読むきっかけは、大学時代名古屋の笹島で著者と同じ経験をしたこと。2009年に発生した女医不審死未解決事件、なぜ西成に寄り添った人が被害者なのかとの思いからだった。コロナ禍前、西成のホテルに4回宿泊した。あべのハルカスの美術館、尼崎市の顧客訪問のため。このホテルが立地されている場所は、「西成のドヤ街の真ん中でした」。当初この立地する場所の歴史を知らなかった。確かにフロント、カフェテラス、そして宿泊客は、私以外全て外国人だった。海外への出張で汚い、英語が話せない人々など気にならなかった
2021/05/27
のんすけ
西成といえば、私のイメージは、ドヤ、日雇い労働者、スーパー玉出、そして飛田新地。このルポでは西成に実際に住んで、日雇い労働をして、見て、聞いて、感じた著者の視点からの情報が盛り沢山で、まるで映像を見ているかのように、西成のあちこちで起きている日常、私から見たら非日常が描かれている。危ない街、そして最後の最後にたどり着く街、日本の中でそこでしか生きられない人を救っている町があると言う真実を突きつけられた感じがする。たとえ嘘とわかっても「そういう設定」と受け流してくれるこの街を、要らない街とはいえない。
2021/01/17
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