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八月のひかり

八月のひかり

八月のひかり

作家
中島信子
出版社
汐文社
発売日
2019-06-29
ISBN
9784811326061
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「八月のひかり」のおすすめレビュー

少女のけなげさに涙腺が決壊! 赤川次郎氏・宗田理氏も絶賛の小説『八月のひかり』

『八月のひかり』(中島信子/汐文社)

 「三毛猫ホームズ」シリーズの著者、赤川次郎氏。そして、「ぼくらの七日間戦争」シリーズの著者、宗田理氏。国民的大ベストセラー作家といっても過言ではないこの二大作家に、今、激賞されている小説がある。『八月のひかり』(中島信子/汐文社)だ。

少女の夏休みを描いた感動作

 主人公は小学校五年生の少女、美貴。夏休みだというのに、美貴は友だちと遊ぶこともなく、働くお母さんのかわりに狭いアパートで家事をして過ごしている。その理由は、「いつもおなかがすいているから」。美貴の家は、今日の食事も満足に手に入らないほどの貧困状態にあるのだ。

 こんなに貧しい家庭が今の日本に本当にあるのか、と思わないでほしい。現代の日本では、17歳以下の子どもの7人に1人、およそ270万人が貧困に苦しんでいると言われている。子どもの貧困は、日本社会が抱える大問題なのだ。

『八月のひかり』では、貧困という難しいテーマが描かれているが、作品の読み心地は非常にさわやか。けなげな美貴と、無邪気な弟の勇希、2人の子どもを照らす真夏の日射しがまぶしく、母子3人の家族…

2019/7/26

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八月のひかり / 感想・レビュー

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machi☺︎︎゛

子どもの貧困をテーマに小学生の美貴の目線で書かれた児童書。児童書だからそんなに深く掘り下げた話ではないが信じられない気持ちで読んだ。今の現代にこの暮らしは考えられないけど、注釈に17歳以下の子供7人に1人は貧困って書いてあったから、現状、キャベツばかりの食生活、酷暑なのにエアコンすらつけられないって事があるかと思うと微々たるものでも、自分にできる事はないかなって考える。

2019/08/25

へくとぱすかる

タイトルから原爆を連想した。確かに8月6日の朝から始まり、原爆のニュースも出てくるが、小学生の姉弟の最大の関心は貧しさと食べること。離婚した父は養育費を送ることなく、母と2人の子どもを苦しめている。貧困の影響は学校すら楽しくない場に変えてしまう。長い間会わなかった父が姿を見せるが、姉弟には恐怖でしかない。気丈な姉へのほのかな救いは感じられるが、ラストの1ページが衝撃だ。今この現在、貧困に直面している子どもたちが非常に多くなっているという現実は、物語の外にどうしようもなく存在していることを知らねばならない。

2020/12/17

はる

子供の貧困…。小学5年生の少女と幼い弟、そしてスーパーのパートで働く母親の家族3人。母親の代わりに料理や洗濯をこなす主人公の少女があまりに健気…。それでも、いつもおなかがペコペコ、たまに食べるたこ焼きや唐揚げひとつに幸せを感じてしまう姿がいじらしい。かつて戦争を体験した作家たちは二度と子供たちにひもじい思いをさせたくないと、多くの哀しい戦争童話を描いた。彼らが21世紀の今、このような児童書が出版されているのを知ったら、どんなに悲しむだろう…。

2019/09/19

ゆみねこ

夏休み、小5の美貴は働く母親の代わりに家事をこなし、毎日を家で過ごしていた。小2の弟は家の貧しさをまだ理解しきれていない。懸命にやりくりをする美貴が健気で涙が出てくる。本当に必要な人に支援の手が差しのべられることを心から願いたい。

2019/08/22

miww

子供の貧困について小学生目線で書かれた児童書。子供が食べる事を我慢する姿は辛い。真夏にエアコンもつけられず母親の代わりに家事をこなし、弟を思いやる美貴に胸が痛んだ。頼る人のいない親子の置かれた状況が分かるにつれやるせなく、ほんの小さなきっかけで崩れてしまうだろうギリギリの生活から抜け出す難しさを思う。巻末に書かれた一行「現代の日本では17歳以下の子供な7人に1人、およそ270万人が貧困状態にあります」に愕然とした。

2019/08/16

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