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それでも女をやっていく

それでも女をやっていく

それでも女をやっていく

作家
ひらりさ
出版社
ワニブックス
発売日
2023-02-06
ISBN
9784847072819
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それでも女をやっていく / 感想・レビュー

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ぱなま(さなぎ)

最初は赤の他人のわたしがここまでさらけだした内面を読んでもいいのだろうか、と思ってしまったほどに全編が個人的な文章だったけれど、読み進めていくほどに著者の向き合おうとしてきたこと、そしてこれから未来へ立ち向かっていくことへの決意表明のようなものを感じて励まされる気持ちだった。本来はすらすらと立板に水を流すように書こうと思えば語れてしまう言葉のスキルをお持ちの方だとは思うのだけれど、あえてそうしないよう自分を戒めているような、一歩一歩足元を確かめて振り返って踏み固めているような文章に、誠実さを感じた。→

2023/03/11

しゅん

一部の男性が作る(たとえば下ネタを薄ら笑いで共有させる)雰囲気が正になってしまい、それに対する吐き気や苦痛は抑圧される。著者は、自らに刺さった性差別的トゲの体験をひとつひとつ物語っていく。同時に、少女漫画や男性同性愛フィクションに対する複雑な心境を語る。本書の一番の特徴は、そこから共感しあえるはずの女性同士の関係が崩れていく様を痛ましく描くところだと思う。最後に著者は、崩壊の原因を考える中で母との関係を見つめることになる。何気なく幾度か登場するミルクティーの存在が、一番の救いになっているような気がした。

2023/04/18

ずー

女友達に対して重い感情を抱いている割に人間関係が他者を舞台装置として一人で完結していないかという疑念を抱きつつ読んだが、私が女友達に求めているのは”母”の役割なのだという自己分析が出てきて、そうね…となった。だが母との自他境界の分離できてなさが非常に危うく、それはそれで怖かった。「母」=「無条件に自分を承認し、甘えさせてくれる存在」をやってくれる赤の他人というのはUMAでしかないので、現実的な落とし所としては、地上のどこかにいてほしい「母」を諦め、自分が自分の「母」になる、ということしかないのだと思った

2023/04/12

nonicchi

著者がラジオ番組「アトロク」にご出演されたのがきっかけで、図書館で予約待ちして読ませて頂きました。すごく自分自身への問いかけを止めない、問わずにはいられない己にうんざりしながら、それでも進んでいく、ひらりささんの強さと思考力に感嘆しつつ、もうそんなに拘泥しない自分は年とったんだな~としみじみ。ミサンドリーという言葉を初めて知ったし、フェミニズムを標榜するからといって、強くあらねばならないということもないんだな、という事も知れて、また新作が出たら読んでみたい、ちょっと気になる存在ですね、ひらりささん。

2023/07/16

KUMYAM@ミステリーとSFF推し

私もフェミニストを名乗ることにためらいを感じずにはいられないが、それでいいのだとも思う。フェミニズム運動の歴史をたどれば大きな変革をもたらした個人に目が行って「私なんてとてもとても…」となるけど、変革が起きたのはその個人の活躍だけのおかげでなく周囲には無名の〈中途半端なフェミニスト〉が無数にいたはずだし、私もそのひとりに過ぎないとわかってるから。

2023/04/30

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