現代小説の方法 増補改訂版
現代小説の方法 増補改訂版 / 感想・レビュー
amanon
講演集ということでサクサク読めるが、しかし、スッと飲み込めるようなものでは決してない。著者自身、喋りが下手だと言っているように、流暢とは言い難い語りのうちに、表には現れてこない重層的な何かが潜んでいるように思われ、本来ならそこを注意深く読み込んでいく作業が必要ではないか?と思わされる。とりわけ興味深く思えたのは、やはり車についてのくだり。ネットやスマホの時代に、このような言述はどれだけの説得力を持つのか?しかし、この観点から小説を改めて論じることには意味があるのかも。未消化感強いので、再読が必要かも。
2022/11/20
readerr
作家の思いがほとばしり、かと思うと聞き手が困惑するような深淵に入ってしまう、つまり、講演というより本人の素が現れた一人語りのようである。主人公は私生児であるべき、神聖な場所としての路地、神話的な仮母と言った言葉から、彼の凝縮していくエネルギーと世界観のあり場所が感じられる。現代の読者にこうした感覚がどのように受け取られるのだろう。かって、彼の小説を読んだ者としては、久しぶりに会って懐かしいというより、遠い昔という感じがするのだ。
2023/03/30
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