妄想の世界史 10の奇想天外な話
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「妄想の世界史 10の奇想天外な話」のおすすめレビュー
私の身体はガラスでできている。ガラス妄想や自分は死んでいる妄想など『妄想の世界史 10の奇想天外な話』が面白すぎる
『妄想の世界史 10の奇想天外な話』(ビクトリア・シェパード:著、柿沼瑛子:翻訳/日経ナショナル ジオグラフィック)
「自分は死んでいる」と信じ込む人間、「自分はバターだ」と思い込んでパン窯の近くに寄ろうとしなかったパン職人、「自分の体はガラスでできている」と言って聞かない人間……。実は、世の中には様々な妄想に取り憑かれた人間が多くいるらしいのだ。『妄想の世界史 10の奇想天外な話』(ビクトリア・シェパード:著、柿沼瑛子:翻訳/日経ナショナル ジオグラフィック)には、そんな妄想に真剣に悩んだ世界中の人々と、彼らを治療しようと奮闘した医師たちの歴史を学ぶことができる。
毛布にくるまり、歩かず、座らず、近づかずの「ガラス妄想」
本書には自分がガラスになってしまった妄想に取り憑かれた人間の話が出てくる。ガラス妄想の症状に悩まされる人間は意外と多いらしい。彼らは尻が砕けるのを恐れるあまり毛布で体を包んでいたり、藁で全身を覆って衝突を避けたり、うっかりガラスの足が砕けないように歩こうとしなかったり、他人を遠ざけるように配慮していたり、という嘘みたいな話が書かれ…
2023/7/19
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妄想の世界史 10の奇想天外な話 / 感想・レビュー
徒花
まあまあかなあ。中世から近世あたりの主にフランスやイギリスなどで、文献などからわかっている妄想に取り憑かれた人々のエピソードを紹介していく一冊。地域やエピソードがかなり限定的なので、タイトルのように『世界史』と銘打つのはいかがなものかとは思う。あと、最終的にはクレランボー症候群の名前の由来になり、自身も最後は拳銃自殺したクレランボー氏のことでまとめられているので、ここに注目して読んでみたらまた印象が変わるかも。
2023/03/19
くさてる
妄想に憑りつかれた人々の10の逸話を集めた内容。内容が入り組んでいるせいか、読みにくかったけれど、それぞれの患者が抱える妄想の内容と、そこに至った背景などは興味深かったです。
2023/06/22
kitten
図書館本。なんか、頭が痛くなるような本だった。どこの時代にもおかしな妄想に取りつかれた人はいるんだけど、時代背景によって、妄想の内容はいろいろ変わる。だけど、妄想を生み出すメカニズムはそんなに変わっていない気がするな。今の自分の環境を認められないから、認知がゆがんでいくんだろう。これは、現代でも大いにあり得る話。ただ、当時は抗精神病薬とかなかったからな。今だと治療できる、ということもありそうだ。笑ってすむような話ではない。
2023/05/28
noko
フランス王シャルル6世がガラス妄想だった事(体がガラスで出来ていると思う)は知られているが、彼の治世は英国との複数の戦い国内の争いの鎮圧ばかりだった。20才の頃多分チフスで何週間も高熱に。それ以降、精神を崩している。仮面舞踏会で衣装に火が燃え移りそうになり、実際数人の男は燃えた。26歳一時的に家族の顔が分からない認知障害。ガラス妄想はこの頃から。当時ガラスは貴重で新技術。新技術が生まれるとそれに関連した信念を持つ人が出てくる。今なら5Gやスマートメーター等。複製のナポレオン現象も読む手が止まらなかった。
2023/11/29
あやりん
精神病患者や心の病に苦しんだ人々の妄想を紐解くことによって、その人のいた背景を考察しようとする、画期的な試み。翻訳だからなのかどこからどこまでが妄想内容でどこからが背景なのか分かりにくかったけど、フランス革命の時代に人々がどんな状況にあったかなど、勉強になることが多かった。歴史を学問として学ぶときは、大きな流れを上から眺めるような感覚だが、この本ではその時代の人々と同じ目線で見れているような感覚で、小説とは違う、非現実のなかのリアリティを見れた気がした。
2023/05/19
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