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ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス F サ 4-1)

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス F サ 4-1)

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス F サ 4-1)

作家
J・D・サリンジャー
柴田元幸
出版社
ヴィレッジブックス
発売日
2012-07-20
ISBN
9784863323957
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ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス F サ 4-1) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

訳者を変えて再読。読みやすいが、野崎孝氏による「バナナフィッシュにうってつけの日」や「コネチカットのひょこひょこおじさん」などが印象深いせいか、題名がしっくり、来ない・・・。「佐藤友哉氏の『ナイン・ストーリーズ』のネタはここか~」という点でも楽しめました。「バナナフィッシュ日和」の電話してくるお母様、うざいわ~。そしてバナナフィッシュの意味、「ディンギーで」は米国のユダヤ人差別の根強さと「テディ」のまだ、10歳なのに倦み疲れたようなテディの家庭事情が虚しすぎてラストでストンと落ちてしまったのが色々と辛い

2017/09/30

アキ

9つの短編から成るサリンジャーのナイン・ストーリーズ。「バナナフィッシュ日和」「コネチカットのアンクル・ウィギリー」「エスキモーとの戦争前夜」「笑い男」「ディンギーで」「エズメに――愛と悲惨をこめて」「可憐なる口もと 緑なる君が瞳」「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」「テディ」。9つの物語のうち特に最初と最後の短編で「死」の影を強烈に感じる。訳者あとがきも原著者の要請で載らず。「謎解きサリンジャー」での「バナナフィッシュ日和」のラストシーン「自殺」したのは誰なのかという問いも、指摘されなければ気が付かない。

2021/12/14

ずっきん

野崎訳がこびりついている。初読当時は、戦争だの暗喩だのはまったく解さず。にもかかわらず『バナナフィッシュ』と『テディ』がなんだか衝撃で、体中が悲哀や怒りで膨れ上がってしまい、居ても立っても居られずに『自分の誕生日パーティーで家族全員を恋人もろともショットガンで撃ち殺し、自殺する』という、生まれて初めての創作という駄文を厨二の激情全開で書き散らした黒歴史を『青の時代』とリンクさせ、微笑ましく読む熟年かな。大人になって読むサリンジャーも好き。柴田さんの新訳も好き。

2021/04/23

踊る猫

実に血腥い作品集だ。傑作選、というのとも違う。纏まりという点で言えば「バナナフィッシュ日和」「テディ」のようなスケッチや他愛もないミニマリズム、「笑い男」の病的な作り話ぶり、「エズメに捧ぐ」の退廃した世界などを概観すれば分かるように支離滅裂で、「九つの話」と表現するしかないことに気づかされる。この支離滅裂さがしかしサリンジャーの味なのだろう。基本的には大人と子ども、男と女の対比が「ストーリー」を浮き立たせており、何処に視点を置くかによって「恋愛小説」「シュール」「戦争文学」と違った味わいを抽出し得る。凄い

2019/02/03

tokko

村上訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に続いて、柴田訳『ナイン・ストーリーズ』に挑戦です。二つのサリンジャー作品を読んで感じたことは──もちろん翻訳によって雰囲気も影響を受けますが──翻訳くらいでは(訳者の方には失礼ですが)損なわれない芯の強さをサリンジャーの小説が備えていることでした。柴田さんの訳はとても読みやすいのですが、このサリンジャーの変幻自在な文体を訳すのは相当苦労されたのではないでしょうか。軽妙洒脱なのか重厚なのかよくわからないけど読まずにはおられない小説群、9つで一つの作品なんでしょうね。

2017/12/10

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