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雨に打たれて

雨に打たれて

雨に打たれて

作家
アンネマリー・シュヴァルツェンバッハ
酒寄進一
出版社
書肆侃侃房
発売日
2022-09-26
ISBN
9784863855403
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雨に打たれて / 感想・レビュー

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星落秋風五丈原

中東旅行エッセイ風。語り手は私になったり第三者語りになったり。「約束の地」「移民」「輝かしきヨーロッパ」「雨に打たれて」「別れ」「ベニ・ザイナブ「帰郷を目前にして」「耐えに耐え…」「伝道」「三日連続の徹夜酒」「悩みは五十歩百歩」「ヴァンの婚約」「告知」「女ひとり」

2022/12/05

lovemys

第一次世界大戦前後の時と思われる中東が描かれている物語のようなエッセイのような。他国民に支配されるいびつさが、淡々とした口調で語られる。文化の違う国の人間が、価値観や宗教を押し付けてくる。その苦しさと混乱が、殺伐さと共に伝わってくる。異文化の民と接する西洋人も、慣れない環境や生活で苦しんでいる。色々なところで暴動や争いが起き、隣国や支配国と緊張した関係が続く。そんな国で生きている人々が、砂漠や茶色の遺跡の向こうにサラリと描かれる。まるで蜃気楼のような感覚の物語。心に深く刻まれる物語。

2023/01/04

北風

写真家でもあったというのでその写真も見たかったが、その作品はなかった。表紙のこれはだって自分じゃ撮れないもんな。戦時中のオリエンタルな地域の、旅の記録? 小説と言うには個人的すぎるし、日記と言うには自身の感情が乏しすぎる。そして、実体験というには劇的すぎる。どうして故郷から遠く離れた地にたどり着いたのか。同性愛者の男性と結婚していて、それらしき男性の存在はあったけれど、同性の恋人がいたらしいが、その彼女の存在はほとんど見当たらない。遠い土地に行っても、それは文面に記すことができなかったのだろうか?

2022/10/15

まこ

欧州に見切りをつける欧州人、欧州文化を受け入れようとする中東人。発掘を続ける私から見たら後者を応援したくなる。ナチスの考えに肯定する人がいたり、自然と中東を見下す発言をすると書かれた当時の人々の意識を直に感じる。ミセスバッテンやカトリーンにズバリと言える私が一番の作者の分身。

2022/10/20

kankoto

訳者の坂寄進一氏もあとがきで書かれていたが作者が世代的にヘミングウェイやフィッツジェラルドなどのロストジェネレーションと同じ世代という事もあり小説に流れる空気感が彼らの作品を読んだ時を彷彿とさせる気がする。 自分の足元、拠り所が不安定で彼らは異国の地にたどり着くことになる。そこで地に足をつけて生きていけるかというとそれまた心許ない。そんな不安感が流れている。 14 篇の短編がおさめられているが全てが中近東が舞台で(解説によればパレスチナ・シリア・ペルシアなどで)そこに流れ着いた人々の物語。

2023/02/27

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