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小さな花

小さな花

小さな花

作家
加藤周一
出版社
かもがわ出版
発売日
2003-09-01
ISBN
9784876997749
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小さな花 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

加藤周一のエッセイと翻訳。この世の善も悪も自分の懐に入れて、たじろがないこと。権力に媚びないこと。小さなものにも優しい眼差しを注ぐこと。こういったことが、ほんとうの知性ではないか、とこの本を読んで思った。「小さな花」の中で、権力の側に立たず、小さな花の側に立つと言い切る加藤周一こそは真の意味での知識人だった。友人だった福永武彦の死について語ったエッセイでは、端正な文章の中から著者の慟哭が伝わってきて、涙が出た。私が一番好きな詩の一つであるエリュアールの詩「自由」を、加藤さんが翻訳しているのも嬉しかった。

2015/09/11

hyuki

「一方には史上空前の武力があり、他方には無力な一人の女があった。一方にはアメリカ帝国の組織と合理的な計算があり、他方には無名の個人とその感情の自発性があった。権力対市民。自動小銃対小さな花。一方が他方を踏みにじることほど容易なことはない。しかし人は小さな花を愛することはできるが、帝国を愛することはできない。花を踏みにじる権力は、愛することの可能性そのものを破壊するのである。」

2009/06/15

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