声を聞きたい: 江戸雪歌集
声を聞きたい: 江戸雪歌集 / 感想・レビュー
qoop
著者というフィルターを通して詠われる世界は情感を伴いつつ透明度高く、巧く角をたわめた柔らかい視点で、中心に焦点を合わせつつ周辺はソフトフォーカスがかかったような印象を受ける。また後半になるにつれシンプルさを増していくとも読めた。/陽は紙のふくろのなかの空間にたまりてやがて夕暮れとなる/三月は命日ふたつほっかりと空に大きな穴があきおり/「あんたなんか」と言われた日もある その声は椿の照派のようにきれいで/われわれは弱い存在ゆっくりと漁船が海にもどされていく/背番号5番のおまえが寝ころんでいる校庭を鴉があるく
2021/08/22
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