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烈しく攻むる者はこれを奪う

烈しく攻むる者はこれを奪う

烈しく攻むる者はこれを奪う

作家
フラナリー・オコナー
佐伯彰一
出版社
文遊社
発売日
2012-12-26
ISBN
9784892570759
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烈しく攻むる者はこれを奪う / 感想・レビュー

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めちゃくちゃ好きな小説に出会ってしまった…。狂信的な老人に連れ去られた少年は預言者として育てられ、いつか主が自分に語りかける「しるし」が現れるのを待っている。老人が死ぬと、叔父の元へ行く。この叔父もかつて老人に連れ去られ経験があり、現在は老人の思想を強く否定しているけれど、老人と同じ、恍惚とした想いに飲み込まれそうな自分と戦い合理的であろうとしている。彼には老人とよく似た、白痴の息子がいる。老人の思想から少年を取り戻したい叔父と、老人を否定しながら、白痴の息子に洗礼を施そうとする少年の狂気バトル。

2022/11/27

三柴ゆよし

自らを予言者と思いこんだ大伯父に拉致され狂信を植えつけられた少年と、彼を矯正せんとする叔父、その白痴の息子、といういかにも南部ゴシックなみつどもえにより展開される濃密な小説世界。オコナ―作品特有のグロテスクなディスコミュニケーションが続くため、なかなかにしんどいが、自分は大傑作だと思う。大伯父と叔父の願望を成就した少年は、結局のところ「烈しく攻むる人々」の一員として不羈独立したわけで、これをバッドエンドというよりは、おれたちの戦いはこれからだ……式のポジティブさで描いてしまうところがオコナ―のおもしろさ。

2019/10/31

ソングライン

自らを予言者となのる狂信者の大叔父に育てられたターウォーター少年、大叔父が亡くなり彼を家ごと焼き、かつて少年を育てようとした叔父のもとへ。ターウォーターを矯正しよとする教師の叔父と知的障害を持つ叔父の子供ビショップを洗礼しようとするターウォーターの対立。千年の時を超え受け継がれる神の教え、ただ一度だけの生を受けた人間、この矛盾を乗り越えるのには狂信しかないのでしょうか、オコナ―の世界はいつも激しいのです。

2022/07/17

hasegawa noboru

預言者になるべく預言者の老人(大伯父、じいさん)に育てられた十四歳のターウォーター少年が主人公で、老人の死を契機に少年を老人の支配から救い出そうとする伯父(レイバー、教師)とが対比されその対立が主テーマだろう。洗礼とか預言とか宗教のことが絡んでなかなかその物語りに入って行けない重い読書であった。<火事じゃなくても、焼かれて、機械にまきこまれて、粉々になっち>まう?<爆弾でふっとばされてあとかたもなくなった兵士たち>?現今の人類は最後の審判の日の様相を呈していないか。待ち受けるのは大破局だという伯父のほうに

2022/10/21

chanvesa

オコナーやフォークナーがなぜ南部にこだわるかあんまり今までよくわからなかった。今もあまりわからない。ただし、この激烈さを狂信と片付けられないことに何か関係があるのだろうか。出てくる人物には誰一人共感を持てない。ターウォーター少年だけでなく、伯父の教師だってある種の狂信さが潜んでいるように感じる。オコナーはやはり短編が素晴らしく、長編は読んでいるとつらくなる。主題が渦を巻いて取り囲んでくる。ラストの炎のイメージが正にそうで強烈だ。ちなみに少年の言葉の翻訳はおっさんみたいだが、これはこれでいいのかもしれない。

2014/01/22

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