赤羽VS北千住、住むならどっち!?『散歩の達人』巻頭初の対決特集とは

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更新日:2021/5/23

散歩の達人
『散歩の達人』6月号(交通新聞社)

 こんにちは。散歩の達人編集長の土屋です。

 緊急事態宣言の延長に加え、梅雨入りかと思われる天候。モヤモヤ感が高まりますね。そんなときこそ「散歩」。雨の合間の好天を狙って、上手に気分転換をしたいものです。

 さて今月号の散歩の達人は、巻頭大特集では初めて、そしてあえての対決企画「赤羽 vs 北千住」です。創刊以来、散歩の達人では何度も特集し、その魅力を探ってきた赤羽と北千住。どちらも荒川沿いの伸びやかな風景が自慢。にぎやかな飲み屋街で知られ、交通の便もよく、住むには「穴場」なんて言われることもありますが、『散歩の達人』的にはいつも定番の素敵な2大タウン。相変わらず繁華街はにぎわう一方、本格的な再開発が始まる赤羽。若い力の台頭目覚ましく、歴史を上手に生かしながら、生まれ変わっていく北千住。ちょうどどちらも特集したいタイミングだったので、今回はあえてこの2つの街を徹底比較してみました。比較することで、それぞれの街の魅力が浮き彫りになるはずです。

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 まず、この2つの街、散歩の達人ではどのくらい特集してきたか、数えてみました。北千住は2002年2月号が最初で、2005年2月号、2010年6月号、2016年3月号と過去4回特集。赤羽は2000年11月号が最初で、2007年4月号、2012年3月号、2016年12月号と過去4回特集しています。ほかにもテーマ特集や下町特集などで紹介してきたので、両タウンともに毎年何かしらで紹介しているはずです。個人的にも大好きな2つの街。今回のコラムでは本特集の魅力をご紹介します。

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過去の散歩の達人バックナンバー。特集のほかに、ガイドブックとして「散歩の達人handy」でも2つの街は紹介しています。

 まずは本特集のトップを飾るのが、赤羽は漫画家・清野とおるさん、北千住は落語家・三遊亭円丈さんという各界を代表する御両人。清野とおるさんはご存じ、漫画『東京都北区赤羽』で赤羽を人気タウンに押し上げた御仁。本特集では描き下ろし(!)の漫画とともに、清野さんに久しぶりに“攻めの散歩”をしてもらいましたが、その貴重な一日を弊誌取材陣がルポ! 再開発でかつての楽しかった赤羽がなくなりつつあり寂しがっていた清野さんでしたが、“たどりつけないお稲荷さん”から始まり、魔窟のようなスナック巡りで出会ったものとは? 誌面でぜひご覧ください。

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『文教堂 赤羽店』では清野とおるさん直筆のサイン色紙とともに6月号を販売中。清野さんコーナーも充実しています。

 新作落語界のレジェンドとして、今も人気の高い落語家・三遊亭円丈師匠は二ツ目時代から北千住近くに在住。40年以上前に円丈師匠が創作し、徹底的に揶揄する毒舌土地ネタの先駆けにもなった作品「悲しみは埼玉に向けて」でも取り上げた北千住への思いを語っていただきました。もちろん師匠のライフワークである狛犬巡りにも言及。飲み屋の街というだけじゃない北千住の魅力を円丈師匠が主観たっぷりに紹介します。

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三遊亭円丈師匠には、巨大狛犬が鎮座する河原稲荷神社にもご足労いただき、貴重なお話をいただきました。(撮影:オカダタカオ)

 という2つの街を代表する著名人の街案内に続いて、いよいよ対決が始まりますが、まずは散歩コース。赤羽も北千住も担当編集が「今こそ歩いてほしい」自慢のコースをライターと作ってみました。しかし、検討の結果、散歩コースは対決にはしないことに(個人的には担当した北千住を推したかったですが)。続いて22番勝負が始まります。テーマを列記すると「喫茶店」「おやつ」「パン」「ラーメン」「食堂」「商店街」「リノベ空間」「書店」「銭湯」「レアな職人技」「住むならどっち?」「鉄道ビュー」「人間観察」「猫と生きる」「団地」「公園」「おもしろ地形」「銅像」「よき文字」「酒場」「個性派ママ」「草野球」とずらり22企画が盛りだくさん! 中でも「食堂」「商店街」「住むならどっち?」「人間観察」はどちらの街の良さも出ていて、まさにその街に住みたくなるような企画でしたし、「団地」「公園」「おもしろ地形」は街の意外な表情が見えて楽しめるはずです。個人的には「個性派ママ」がどのページよりも濃くて面白かったし、残念ながら天候の関係で試合は実現できなかったものの、両チームの協力で結果的に楽しい妄想対決となった「草野球」もよかった。詳しい内容はぜひ誌面でご覧ください。

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北千住の『キッチンフライパン』のソースカツ丼(チキン)。「食堂」対決では「肉料理」と「魚料理」で対決しました。(撮影:井原淳一)

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タコさんすべり台は足立区内に11体もあるそう。じつは「公園」対決でも2つの街の意外な素顔がわかります。(撮影:オカダタカオ)

 さて、本誌の大特集「赤羽 vs 北千住」には、22番勝負のほかにも読み応えのあるコラムも満載。西友とダイエーの“赤羽戦争”、北千住がイトーヨーカドー発祥の地であることから作ったコラム「実は壮大なスーパーマーケット史」。名編集者・都築響一さんと路地裏徘徊家で文筆家のフリート横田さんによる特別対談「城北の2大盛り場をゆく」もお見逃しなく。さらに最後には特集についての編集部座談会もあり、担当編集それぞれの各テーマについての感想をまとめています。

 さて、まだまだ憂鬱な日々が続きますが、きっと楽しく散歩することが日々の活力につながるはず! 今月も密を避けつつ、本誌を参考にして、できる範囲で散歩を楽しんでください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年埼玉県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。


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