今日吹いた新しい風は……『きょうもかぜはいろづいて』【NEXTプラチナブック】

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/24

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年11月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

風が起こり、吹き渡り、そしてやむ。ふたたび吹き始める……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、風が吹きわたる一日の情景を美しい色彩で描きだした『きょうもかぜはいろづいて』。いったいどんな内容なのでしょう?

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

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今日吹いた新しい風は……『きょうもかぜはいろづいて』

きょうもかぜはいろづいて

作:阿部海太

みどころ

今日もまた一日がはじまり、風が吹きわたる。
生きとし生けるものが、ざわめく風のなかでたわむれる。

どこから きたの?
なに みてきたの?
だれと あそんだの?

深い青、輝くような黄色、澄んだ水色。
光の加減で様々な色に変化しながら、風は優しく問いかける。

ページをめくるたびに、違う色に染まった画面が広がっていくこの絵本。

添えられる言葉も最小限、景色もどこか抽象的。けれど、じっと見ているだけでこの場所を知っている様な気持ちになるのは、自然の中の見覚えのある色彩だから。動物たちの表情を見ているだけで、そこに吹いている風を感じることができるから。

今日も明日も明後日も。一年後も百年後も千年後もずっと。光はうつろいながら、風はめぐり、誰かが風に出会っていく。生きてこの世にあることの不思議さ、愛しさを見つめる、阿部海太さんの創作絵本。

今日吹いた新しい風は……?

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編集長のおすすめポイントは……

いつか大人になった時

夕陽に染まるオレンジ色の景色の中、ぽつんと佇む彼が感じているのはどんな風? 日が沈む直前、赤から紫、深い青へと刻々と変化していく空の中で過ごす彼らに吹いているのは、どんな風? じっと眺めて想像しているうちに、ふと絵本の中に吸いこまれていくような感覚にもなって。まるで同じ空間を体験しているかのよう。いつか大人になった時、絵本の中の景色や色をふと思い出すようなことがあったらいいな、と思うのです。

磯崎園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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