唐沢寿明さんが選んだ1冊は?「車を通じて大切な人脈を得ました。そのすべての始まりが『サーキットの狼』です」

あの人と本の話 and more

公開日:2023/4/13

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年5月号からの転載になります。

唐沢寿明さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、唐沢寿明さん。

(取材・文=松井美緒 写真=大石隼土)

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「車を好きになったきっかけ」

 唐沢さんは、小学生の頃夢中になった『サーキットの狼』を、こう懐かしむ。同作はいわゆる「スーパーカーブーム」の火付け役。

「作中のスーパーカーに憧れて、街で見つけると写真を撮っていました」

 ちなみに、当時唐沢さんが一番好きだったのは、トヨタ・2000GT。好きなキャラクターは、警察官からレーサーを目指す苦労人の沖田。『サーキットの狼』は、唐沢さんのその後の人生にも大きな影響を与えた。

「大人になってから、車を通じて大切な人脈を得ました。作者の池沢さとしさんのお宅にお邪魔したり、プロレーサーの方たちとお会いしたり。堺正章さんとの出会いもサーキットです。堺さんの勧めで、『GO!GO!ラリー in 東北』も始めました」

「GO!GO!ラリー in東北 ~Classic car meeting~」は、唐沢さんが発起人となった東日本大震災チャリティーイベント。参加者は復興支援を目的に、被災地をクラシックカーで巡る。すでに2019年と22年の2回開催されている。

「そういうことすべての始まりに、『サーキットの狼』があります」

 この4月、「間違いなく面白い」と唐沢さんが絶対の自信を持つ主演作『連続ドラマW フィクサー Season1』がスタートする。唐沢さんが演じるのは政財界を裏で操るフィクサー・設楽拳一。

「拳一の言動によって、政治家や周囲の人々が動いていく。その刻一刻と変わる状況そのものが、この物語の醍醐味です。だから、自分の存在は物語の中に消えてしまうかもしれない。でも、主役が目立たないことこそがドラマの面白さであって、ドラマ作りの基本です」

 共演陣も西田敏行さんや小林薫さんをはじめ豪華な顔触れが揃う。

「素晴らしい役者さんたちとの現場は、本当にいい経験になります。演じながら、自分の思った以上のものを引き出してもらえる瞬間がある。自分一人で考えていたことなんてつまらない、といつも思います」

物語の中で、拳一は自身の行動原理を「政治を壊したい」と明かす。

「壊したいと思うのは、多分そこに危機感がないから。危機感がなければ進歩がなく、衰退するだけ。それは政治も経済も、芸能界だってすべて同じです。拳一は壊した先に何を求めるのか。それは自分にもまだわからない。ぜひ楽しみにご覧いただければと思います」

ヘアメイク:松原美穂(Nestation) スタイリング:勝見宜人(Koa Hole inc.)

からさわ・としあき●1963年、東京都生まれ。97年、映画『ラヂオの時間』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。近年の主な主演作に映画『イン・ザ・ヒーロー』『杉原千畝 スギハラチウネ』「トイ・ストーリー」シリーズ(日本語吹き替え)、ドラマ『24 JAPAN』、上下関係W『トップギフト』など。

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『連続ドラマW フィクサー Season1』

『連続ドラマW フィクサー Season1』

脚本:井上由美子 出演:唐沢寿明、藤木直人、町田啓太、小泉孝太郎/西田敏行(特別出演)/内田有紀、小林 薫 4月23日スタート(全5話) 毎週日曜午後10:00(第1話無料放送) WOWOWプライム・WOWOW 4K放送、WOWOWオンデマンド配信
●謎のフィクサー・設楽拳一。ある夜、総理大臣の乗った車が崖から転落。事故か事件か。さらに新薬の認可をめぐる密約スキャンダルや総裁選が絡み、拳一の暗躍が始まる。3Seasonにわたる大型シリーズ。