和田正人「物心ついた頃から周囲は坂本龍馬でいっぱいでした」

あの人と本の話 and more

2014/10/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回は、俳優集団D-BOYSの10周年記念公演「駆けぬける風のように」で主演を務める和田正人さんが登場。足はめっぽう速いが、剣術も学問もまるでダメな新選組隊士・立川迅助を演じるにあたり、幕末という時代に思いを巡らせるうちに気づいたこととは?

 四国は高知県、土佐の生まれである和田さん。

「土佐というところは、左を見ても右も見ても龍馬で溢れているんです。
ご当地コマーシャルのキャラクターもだいたいが龍馬(笑)。そんな環境で育ったので、自然と『龍馬ってすごい人だったんだなあ』と思うようになりました」

 それだけに龍馬と真反対の価値観で動く新選組には、やはり少し距離を感じてしまう。

「大政奉還の後、世の中がどんどん変わっていこうとしている時代に、あくまで古い価値観にこだわったのが新選組です。隊士それぞれが幕府への忠義や武士としての誇りをかけ、戦うことも厭わない。ですが、一方には戦いに異を唱える人間がいて、その代表格が坂本龍馬です。彼は、どこまでも続く太平洋を見て育った土佐人の多くのがそうであるように、自由を愛し、広い世界を見てみたいという気持ちが強かったのだと思います」

 和田さんが演じる立川迅助は、倒幕派を取り締まる立場だ。

「ところが、迅助はそうとは知らずに出会った龍馬の人柄に惚れ込み、彼の思想がどんなものかを知った後でもなお、この人は死なせてはダメだと思うようになります。こういう柔軟性って、現代人にも必要だと思うんですよ。もっと言えば、これからの時代はそれがないとしんどいんじゃないかなとも思います」

 人が人を好きになるのは、理屈を抜きにした純粋な衝動だ。

「いろんな考え方の人たちが混ざりあうなかで、理由はわからないけれど、『俺はこの人が好きだ。だから、この人には生きていてほしい』と願う感情こそ、人の心の本質的な温かさだと思います。迅助を通じて、人としてのあるべき心の持ちようを表現したいです」

(取材・文=門賀美央子 写真=川口宗道)

和田正人

わだ・まさと●1979年、高知県生まれ。2013年、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で主人公を支える幼馴染、泉源太役で話題に。その後、ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』の北大路犬彦役、『ゼロの真実~監察医・松本真央~』富田肇役などに出演。

 

『クリムゾンの迷宮』書影

紙『クリムゾンの迷宮』

貴志祐介 角川ホラー文庫 680円(税別)

目覚めたら、そこは火星のように赤い大地だった。わけのわからぬまま、戦慄のゼロサムゲームに巻き込まれた藤木。一方的に知らされる情報をもとに生き残りをかけて荒涼たる大地を進む彼を、自然の猛威が、そして異形の化物が襲う。死闘の末、藤木が知ることになる凄惨な真実とは? 傑作サバイバルホラー小説。

※和田正人さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ11月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

舞台『駆けぬける風のように』

舞台『駆けぬける風のように』フライヤー

脚本・演出/成井 豊 出演/和田正人、陳内将、遠藤雄弥、加治将樹、堀井新太 山田悠介、土屋シオン、前山剛久 東京/サンシャイン劇場 10月9日(木)~19日(日)ほか、大阪、名古屋公演あり 
●足はめっぽう速いが、剣術も学問もまるでダメな新選組隊士・立川迅助は、ある日怪我を負った男を助けた。しかし、後になって男が不倶戴天の敵・倒幕派の首魁の一人、坂本龍馬だと知る。そんな時、迅助の士道不覚悟を問われる事件が起こり、絶体絶命のピンチに。果たして迅助の、そして龍馬の運命は!?