「富田美憂」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑+】

アニメ

公開日:2018/12/21

富田美憂

 編集部が注目する声優に、仕事に向き合う気持ちからプライベートまでをじっくり伺い、撮り下ろしのミニグラビアを交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。【声優図鑑+(プラス)】では、これまでに「声優図鑑」を飾ってきた声優たちが2度目の登場! 前回を振り返りつつ、成長したことや新たな目標をインタビューし、今の素顔に迫ります。

第4回となる今回は、2016年4月に「声優図鑑」に登場し、最近では『メイドインアビス』のリコ役、『となりの吸血鬼さん』のソフィー・トワイライト役、『荒野のコトブキ飛行隊』のチカ役などを演じる富田美憂さんです

――以前登場していただいた当時は『アイカツスターズ!』がちょうど始まろうとしている頃で。虹野ゆめ役を2年間演じたことは、富田さんにとってどんな経験になりましたか?

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富田:デビューして間もない作品だったこともあって、放送は終わりましたけど、今でもゆめと一緒に日々を過ごして成長しているような気がします。ゆめはゼロの状態からアイドルを目指しましたけど、私もずっと憧れていた声優の仕事を始めて、2年目には同じように後輩ができて。私も、自分が輝くことで応援してくれている人たちに夢をお届けできるようになりたいなとずっと思っていたんです。一心同体じゃないですけど、この作品ナシで今の私はいないって思うくらい大切な作品です。

「STARDOM!」っていう曲の中で「憧れは次の憧れを生む」っていう歌詞があるんです。私も最近になって幅広い年代の女の子から「憧れです」ってお手紙をいただく機会が増えたので、「あ、『STARDOM!』だ!」ってうれしくなります。

――その後も目覚ましい活躍を。『メイドインアビス』のリコ役はそれまでの役とはまた違う印象が。

富田:作品ごとに優劣をつけるのは良くないと思いますけど、今までで一番演じるのが難しい役でした。日常を描いたような作品に出させていただくことが多かったので、生きるか死ぬかみたいな作品に向き合う機会があまりなかったんです。オーディションの時のことを思い出しながら演じましたけど、1話の収録でズタズタになってしまったんです。2年半くらいやってきたお芝居が何も通用しなくて。音響監督さんとか、レグ役の伊瀬茉莉也さんから、キャラクターに命を吹き込むのがどういうことなのかを教わりながら、ようやく最後まで演じることができました。

特に、後半に大怪我をするシーンでは、自分も過呼吸になってしまうくらい、文字通り命がけでお芝居していました。毎回、物を食べたり体の痛みを感じたり、五感を使うことが多い収録だったので、「今は洞窟にいるから冷たいだろうな」とか、「腐敗臭がしているかもしれない」とか、キャラクターが感じていそうな温度や匂い、音などを台本に書き込んでいましたね。苦しい作業でしたけど、頭で考えながら芝居することの楽しさを教えてもらった作品で、私にとって大切な経験になりました。

――直近の作品だと、『となりの吸血鬼さん』で主人公のソフィーを。この役は、どのように掴んでいった?

富田:まず、ソフィーは人ではなくて吸血鬼なんですよね。それに、私は19歳ですけど彼女は360年も生きていて。見た目はすごく小さな女の子ですけど経験をたくさん積んできていると思うし、声は幼いけど考え方は大人っぽいので、灯ちゃんに話しかけるような時に「○○しなさい」という口調にしたりして、語尾に“”長年生きている感”を出すようにしていました。

――『荒野のコトブキ飛行隊』のチカ役はどうですか?

富田:元気で可愛いキャラは今までにもありましたけど、また違う挑戦になっていると思います。レシプロ機に乗って戦うので声の出し方も違うんですよ。チカを演じるときはエンジンをフルにして声も大きくしているから演じた後は「体力使った〜」ってなります(笑)。体にかかるGの経験がイマイチなかったので、苦手なんですけどジェットコースターに乗ってこんな感じなのかと試したりもしました。体が軽いチカは飛行機がぐるんぐるん回る中で戦うスタイルで、余計に声を張らないといけないんです。

――普段は日常モノが多いですが、アクションがあるような役も楽しい?

富田:楽しいです! ずっとそういう作品に出たかったので。戦闘機とかエンジンとかも、この作品をきっかけに気になるようになりました。すごくリアルに作り込まれているのでマニアの方は見ていて楽しいと思うし、バトルシーンもすごいんですよ。

――今夏からは、声優ヴォーカルユニット・Kleissisに参加を。

富田:林堂アキラって、自分の世界に入り込んでいけるような、どちらかというと言葉が少ないクールな女の子。今まで幼めのキャラをやらせていただくことが多かったので、こういう大人っぽい女の子には苦手意識があったんですよ。でも、歌に情熱を傾けている子なところが、私も小さい時に自分の声は嫌いでしたけど周りから唯一褒められるのが歌だったので、すごくリンクした気がします。知っていくうちに、自分と似ている部分が見つかってさらに親近感が増していきました。

――幻想的な世界観を持つことでも知られていますね。歌のほうはどうですか?

富田:Kleissisの歌ってすごく難しいんですけど、嬉しい気持ちや苦しい気持ちを伝えるっていう意味では、歌もダンスもお芝居も同じだなあと思っていて。私は芝居が好きなので、歌詞にある痛々しさや喜び、温かさとかを、歌詞とメロディに乗せて伝えていけたらいいなと思っています。スタッフのみなさんからも、富田さんの歌は歌詞の意味とか情景が浮かんでくると言われたので、最近はそれを強みだと思って歌うようにしています。

――歌を習ったことはなかったそうですが、小さい頃はどのように歌に触れてきたんですか?

富田:カラオケによく行っていましたね。幼稚園でみんなで歌うところから始まって、『うたの☆プリンスさまっ♪』と出会ってから歌が大好きになって。小学校高学年くらいのときに、カラオケで友だちから褒められることが多くなって、あ、自信持っていいんだなって。

――音楽で好きなのは?

富田:なんでも好きです。カラオケも、相手に合わせてアイドルからアニソンまで歌えるくらい。特に好きなのはゴリゴリのロックかな(笑)。Kleissisの曲もすごく自分に合ってるなと思っています。

――聴くのも歌うのもロックが好き?

富田:そうですね。アイドルっぽい可愛らしい曲も好きですけど、かっこいい曲のほうが自信があります。『温泉むすめ』のAKATSUKIもそうですし、強さが表れている曲を歌うのが楽しいですね。ロックが好きなのは、ギターを弾いていた父親の影響もあると思います。私も一時期、楽器にハマって。ギターもやりましたけど、結局はベースになりましたね。

――『温泉むすめ』の鬼怒川日向役で所属するユニット・AKATSUKIは、たしかに強さを感じさせるユニットですね。

富田:センターなので最初はプレッシャーでした。メンバーと仲良くなれてからは、本当にユニットの通り、3人で突き進んでいく雰囲気になりました。日向はメンバーの玉造と別府を姉のように慕っているんですけど、私もキャストの田澤茉純さんと岩橋由佳さんをお姉ちゃんのように思っていて、「ますねえ」と「ゆかねえ」って呼んでるんです。

――プライベートで声優の友だちと遊びに行くことはある?

富田:よくあります! 声優になりたての頃は中学生だったから、あんまり年の近い声優さんがいなかったけど、最近は同世代が増えてきたので。私から誘うこともあるし、誘われたらだいたい「行くー!」ってなります(笑)。

最近は一緒にいる時間が多いせいか、Kleissisのメンバーとよく遊びます。年齢とか経験とかバラバラですけど、いい意味で年齢を感じさせない同級生みたいな心地よさがあって。その中でも、もっちゃん(元吉有希子)は価値観とか芝居に対する考えが似てるなって思っていて、ご飯食べに行って芝居の話をしたりしますね。歳が近いゆっきー(田中有紀)は、じつは以前共演したことがあるんですよ。こんなに仲良くなるとは思っていなかったので驚いてます(笑)。

――では、最近楽しかったことを教えて。

富田:お仕事になっちゃうんですよね。今はお仕事がとても楽しくて。どれも新しい発見ばっかりなんです。ステージに立って歌って踊るお仕事が増えてきたんですけど、Kleissisはライブの後にお渡し会特典会があって、ファンのみなさんから直接感想を聞かせてもらえるのがいいな、楽しいなって思ったり。洋服やアクセサリーを集めるのにもハマっています!

――声優として、これからの目標は?

富田:すごくフワッとした目標ですけど、「富田美憂は役者だね」って言われるようになりたいですね。マルチに活動しても軸は役者でいたいなって、これは『メイドインアビス』の頃から考え始めたことですけど。ただ、歌って踊ることも表現の一つだと思っているので、マルチに活動しながらも、いろんな作品に対応できる力をつけていきたいと思っています。声優としてもっとスキルアップして、歌って踊れる、芝居もできる、この人は役者だなっていう声優アーティストになりたいです。

――最後に、ファンのみなさんにどんなことを伝えたいですか?

富田:以前、1回目に出させていただいたときは、初めてメイクをして撮影していただいたので右も左も分からずでした。それから月日がすぎて、芝居に対する考え方や仕事への取り組み方がずいぶん変わってきていると思います。以前の私と見比べて、違いを見つけていただけたら嬉しいなって思います。

【声優図鑑+】富田美憂さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑+」をお楽しみに!

富田美憂

「富田美憂」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】(2016/4/6)

富田美憂(とみた みゆ)アミューズ所属

富田美憂(とみた みゆ) Twitter

◆撮影協力
BC WORLD STUDIO

取材・文=吉田有希、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト