芝居に、音楽活動に向かう、それぞれの決意とは――『ライフル・イズ・ビューティフル』ライフリング4座談会(後編)

マンガ

更新日:2020/5/14

『ライフル・イズ・ビューティフル』 10月13日(日)より毎週日曜23:00~ TOKYO MXほかにて放送
(C)サルミアッキ/集英社・千鳥高校射撃部

『ライフル・イズ・ビューティフル』著:サルミアッキ 集英社「となりのヤングジャンプ」 「ヤンジャン!」 「少年ジャンプ+」にて連載中 (C)サルミアッキ・集英社

最新5巻発売中
著者:サルミアッキ/発売元:集英社/価格:600円(税抜)
連載:https://tonarinoyj.jp/episode/13932016480028985966


 

advertisement

 いよいよTVアニメの放送がスタートした、『ライフル・イズ・ビューティフル』。原作は「となりのヤングジャンプ」 「ヤンジャン!」 「少年ジャンプ+」に連載中の4コママンガで、ライフル射撃に打ち込む4人の高校生の青春をテーマにした作品だ。なんといってもキャラクターが魅力で、彼女たちの日常の風景はとても楽しいのだが、同時に、高い集中力が要求される上に「動いてはいけない」ライフル射撃競技のシーンも、心理描写が鮮やかで読み応えがある。

 そんな『ライフル・イズ・ビューティフル』のメインキャストを務めるMachico(小倉ひかり役)、熊田茜音(渋沢泉水役)、南 早紀(姪浜エリカ役)、八巻アンナ(五十嵐雪緒役)で結成されたのが、アニメ公認のアイドルユニット「ライフリング4」。4人でステージに立つライブのことや、原作の印象を語ってもらった前編に続き、座談会後編では、担当するキャラクターへの想いと、『ライフル・イズ・ビューティフル』という作品に挑む決意について聞いてみた。

ライブをやることで、泉水ちゃんと手をつなぐ時間もどんどん増えていく(熊田)

――前編では、原作におけるキャラクターの魅力についての話が出てましたけど、それぞれ自分が担当される子の好きな部分について教えてもらえますか。

Machico:ひかりちゃんは、本当に素直にライフル競技が好きで。技術よりも好きの気持ちが大きい子だと思いますし、好きなのにあまり競技を理解していないところも、愛おしいポイントです(笑)。いざとなったらすごい腕前を発揮したりするけど、それは狙ってやっているわけではなくて、仲間から受け取った気持ちをすごく敏感に受け取れる子なのかなって、作品を読みながら思っていて。逆に、仲間がいたらできたことが、ひとりになった瞬間に急にできなくなって、その理由は本人もあまりわかっていなかったりして。そこが、これから成長していく彼女のポイントなんだと思います。好きっていう気持ちだけで、あれだけまわりの子の気持ちを動かせるのはすごいと思うし、飾らない素朴さや明るさを持っているところが、ひかりちゃんの魅力かなって思います。

熊田:泉水ちゃんは、一言で表すと、みんなのお母さん的な立ち位置で動いているんですよね。常にまわりを見ていて、他の人を優先しちゃう。だから、自分の気持ちよりも人の気持ちにすごく敏感で、特にひかりは幼なじみだから、たぶん泉水ちゃんは「わたしが支えてあげなきゃ」っていう思いがすごく強い子なんですよ。そういう、人に対して一生懸命になれる子って、ほんとに愛おしいな、と思っていて。泉水ちゃんは、射撃の点数は平均点で、すごく悩んでるんですけど、たぶんわたしだったら、悩みをまわりにたくさん相談して、きっと迷惑をかけちゃうと思うんです。だけど、泉水ちゃんはひとりで悩んで、自分で対処しようとする。まわりに迷惑をかけないようにはするけど、先生の前ではポロっと弱音が出たり、ダイエットを頑張っていて――ダイエットは、失敗ばっかりしてるんですけど(笑)。高校生らしく、年相応のかわいさもあるので、演じるわたしとしては、そんな泉水ちゃんをぎゅってしてあげたいなっていう気持ちを、常に持ってます。

――すでに、自身が担当するキャラクターを、めちゃくちゃ愛せてますね。

熊田:何度も読み直してます。わたし自身は経験が少ない分、読ませていただく時間が多ければ多いほどよくて。ライブをやることで、泉水ちゃんと手をつなぐ時間もどんどん増えていくんです。

Machico:手をつなげるっていいね。

:わたしは、エリカちゃんは努力の子だと思っていて。自分に自信がないのか、それとも満足できないのか、自分の中ではまだ落とし込めていないんですけども、努力する女の子ってやっぱり素敵だなって思っていて。見た目もきれいだし、勉強もできるし。射撃も大好きでうまいのに、人一倍頑張るんです。でも、本番に弱くて実力を出せないところがあって、そこが自分と重なるんですよね。わたしも、自分に自信がなくて、満足できないんですよ。だから、どういう仕事に対しても一生懸命やるんですけど、これからエリカちゃんと一緒に成長していけたらいいなって思います。エリカはライフルを頑張ってるけど、わたしの中ではライブは試合だと思っていて。そう考えると、共通点がたくさんあるなって思います。

Machico:もっと高飛車な子かと思っとったけど、一番人間味にあふれてる感じがするよね。

:そうですね、確かに。

Machico:そのことに、自分であまり気づいてない感じもする。自分の行動自体とか、すごく仲間想いなところとかも。

――エリカは、4人の中でただひとりツッコミ役ですよね。わりと他の3人はボケ倒すから。

熊田:確かに!

Machico:大変だよ、精神が持たないよ(笑)。

熊田:気苦労が多い(笑)

:なのにみんなの方がライフルが上手かったりするから、やるせない気持ちもある(笑)。でも、エリカちゃんはみんなのことが好きだし、優しい子だなって思います。

八巻:雪緒は、「彼女にはビームライフルしかないんじゃないか」って思うくらい、ビームライフルばかりやってきた子なのかなと想像していて。雪緒にとっては、ビームライフルを通じてのコミュニケーションが世界の大部分を占めているんじゃないかと思うんですけど、だからこそ射撃の腕前に関してもすごく自信を持っているし、「絶対に自分は負けない」って強く思っていて。その自信は、きっと努力に裏付けられたものなんだと思うし、射撃に並々ならぬ思いを注いでいる雪緒だからこそ、好きな射撃を通して出会ったみんなと仲良くなって、一緒に高め合っていける時間をすごく大事に思ってるんじゃないかなって思います。見た目には楽しい感じはあまり出ないんですけど(笑)、みんなと過ごしているときの雪緒が心の中では楽しいと思っているんだろうなっていう瞬間を見ると、すごく愛しく感じるし、そういうところが好きです。

自分たちの活動によって競技が有名になったり、目を向けてもらうきっかけになるひとつのピースとして輝いていけたら(Machico)

――では、ライフリング4の活動をしている中で、「この人のここがすごいな、好きだな」って感じるのはどういうところですか?

熊田:ありすぎる!

Machico:熊ちゃんを見るたびに、「清い心とはこういうことか」ってすごく思います。こんなに素直に、応援してくれる人に自分の気持ちを伝えられるのはってすごいなって。自信がないって本人は言うけど、練習も人一倍やってたりするし、頑張る子を近くで見ていると、これからの活動やいろんなお仕事に対する向き合い方の刺激にもなります。

熊田:ひとつひとつのことに、「超楽しい」って思ったら、もうそれしか出てこないんです。思ってることが、顔に出るから。いつも、ライブの後にはマネージャーさんとかに「今日も全然しゃべれなかった。また先輩方に全部拾わせてしまった」って言ったりしているんですけど、わたしが言わないといけなかったMCを忘れちゃったりしたときに、皆さんはスマートに助けてくれるんです。最初のライブのときも、震えるくらい緊張してたけど、舞台上で南ちゃんが手を握ってくれたりして。

:あれは、職権濫用(笑)。握りたいから握ったんだよ。

Machico:もはや事案だった(笑)。

熊田:(笑)皆さん本当に心が広いので、なんかもう「好き!」って思います。わたし自身はまだ実力も自信もないけど、まわりに助けていただいてます。

:わたしも、熊ちゃんのこういうまっすぐさがいいな、と思っていて。いつも、ほんとニコニコしてるんですよ。こっちまで笑顔になっちゃうくらい。それこそ、泉水ちゃんのことを空気清浄機って言ってたことがあるけど、「それは自分もだよ」って言ってあげたい。プラズマクラスターだよ。

Machico:めちゃめちゃいいやつやん(笑)

八巻:そういうとき、南ちゃんが一番に気付いてあげたりするよね。ステージ上でも、すぐタオル取ってきてくれたりするし。

:わたしは、先輩たちがそうしてくださったから、自分もそうしたいな、と思っていて。

八巻:そうやって気を回せることって、やろうと思ってもなかなかできることじゃなくて、その人の持ち前の性格が出ると思う。だから、南ちゃんはもともと人に対する気配りができる人なんだなって、しみじみ感じてる。

Machico:わたしも思う。

熊田:南ちゃんが先輩たちに助けてもらったことで今の南ちゃんがあるんだとしたら、わたしにもいつか後輩ができたときに、みんなが言ってくれたことをやると思うし、やらないといけないと思います。本当に、それぞれに「好きだな」って思うところがたくさんあるんです。普段、ほんとに助けてもらっていて。それでいて、すごくわちゃわちゃしていて――だから、きっとわたしの脚を触ってくるのも、そのうちのひとつなんだろうな、と(笑)。

:えっ、誰が触るんですか?――Machicoさん!

Machico:癒しだねえって思いながら。

熊田:撫でられてます。わたしには、至福の時間ですけども(笑)。それくらい、温かくて、面白くて、どこかぶっ飛んでるメンバーが好きです。

Machico:確かに、個々にぶっ飛んではいます(笑)。アンちゃんは、ほんとに愛が深いんですよ。好きになったものに対してはすごい熱量でぶつかってくれる子なんですけど、最初の印象はけっこう物静かな子なのかな、と思っていて。見た目も大人っぽいし、しっかりしてるし。イベントでも要所要所で決めてくるところはアンちゃんならではだなって思います。すごく印象に残るんですよ。わたしは、口数は多いんだけど、特に印象に残らない(笑)。

熊田:そんなことない(笑)!

:でも確かに、ライブのMCで最初に感想を言うのはアンちゃんなんですけど、全部言ってくれるんですよね。それくらい、語彙力が高くて。

Machico:頭の回転が速いよね。

:あと、見た目はクールっぽく見えるんですけど、笑顔がかわいいんです。

Machico:そう!

熊田:見ていると、もう「あうっ」ってなります。

Machico:やられるね。

:くしゃってなるところが、すごくきゅーってなる。純粋に、顔がいいんです。八巻アンナ、顔がいい。

Machico:語呂がいいね(笑)。八巻アンナ、顔がいい。

――最終的に、足と顔の話になった(笑)。

熊田:最悪だあ~(笑)。そういうグループじゃないんです!

八巻:違うんですよ!

:でも、女子高みたいなノリはあるよね。女子高って、こんな感じなのかなって思ったりします。

Machico:懐かしいなあ。

――その感覚は、今後アフレコが進んでいく中でも絶対に活きてくるでしょうね。

Machico:楽しみです。スタッフさんも盛り上げようとしてくれているし、現場の雰囲気もそうですけど、ライブも「楽しい!」っていう感想をみんなに広めてほしいので、わたしたちもそれをちゃんと導かないといけないと思います。作品自体に目を向けてもらえるように、キャラクターや作品に対して「こんな思いを持っている」ということを、ファンの人たちに直接伝えられる場がライブなので、みんなで同じ方向を向いてやっていきたいです。

――『ライフル・イズ・ビューティフル』は、お芝居もあり、音楽活動もありの作品で、皆さんにとって今後大きな存在になっていくと思うんですけど、この作品を通してどんな成長をしていきたいと考えていますか。

八巻:わたしは、アニメにメインキャストで出させていただくのが初めてだし、頻繁にライブを行うことも初めてで。アフレコが始まる前からこんなにひとつの作品のことを考えている時間があるのは本当に幸せなことで、それだけキャラクターに対する理解も深められるし、事前にみんなとの絆も深められたので、より万全な状態でいい作品づくりに挑めていると思います。こんなに贅沢な経験をさせていただける現場はなかなかないと思うので、ここで学んだことを余さず吸収して、自分の成長に、そして作品の盛り上がりにもつなげられたら、と思います。

:エリカは二次元の存在だけど、わたしは彼女が生きてるって思ってるんですよ。原作も続いてるし、今後キャラクターがどんどん成長していくと思うんですよね。わたしも、声優としてどんどん成長していきたいという想いがあって。エリカもわたしも成長できた先には、『ライフル・イズ・ビューティフル』がいい作品なんだって、もっともっとみんなに伝わると思うんですよね。みんなもそれぞれ一生懸命に頑張っているし、4人のパワーが合わされば、すごく大きなパワーになると思います。『ライフル・イズ・ビューティフル』っていい作品だな、ビームライフルやってみたいなって思ってくれる人がひとりでも多くいてくださると嬉しいので――わたしにとっては、この作品はもう大きな存在です(笑)。

熊田:この作品は、お芝居もやるし、主題歌も歌わせてもらえるし、ライブでは踊れるので、わたしが大好きなことを全部やらせてもらえてます。自分の目標として、いろんなことが楽しいからマルチに活動したいと思っている中で、それが全部叶っていて。一個一個のお仕事に集中してやっていったら、絶対につかめるものもあるし、成長できると思います。それに、「この人、好きだな」って直感的に思えるメンバーと一緒にいさせてもらってるので、わたし自身も人間力をもっと上げないといけない、と思っていて。きっと、人間力を上げたら、出てくるお芝居も違うし、歌に乗せる感情も違ってくると思います。ライブでも、お客さんの熱量を感じるんですけど、観に来てくださるお客さんって、わたしよりもライブの先輩なんですよね。だから、やっぱり教えてもらうことが多くて。いつも、自分が発信した表現で今ここにいる人たちを元気にできたら、明日の活力になったら、と思ってライブに向かうけど、結局いつもわたしのほうが元気をもらっちゃってるんですね。それも力にして、これからわたし自身が成長していくことが恩返しになるのかなって思います。

 それと、わたしにとって、泉水ちゃんは女性として憧れの子なんです。常にまわりに気を遣えるし、そういう包容力を持つことを理想にしていて。せっかく泉水ちゃんをやらせてもらえるなら、泉水ちゃんのいいところをいっぱいいっぱい学ぶべきだし、泉水ちゃんにならなきゃいけないし。吸収するものがたくさんある、ありがたい場をいただいたので、この作品を通して成長していけたらいいな、と思います。

――では、Machicoさんに締めてもらいましょう。

Machico:わたしはデビューして8年目で、いわゆる主人公を担当させていただくのは初めてなんです。いろんな先輩方に助けてもらった経験もありつつ、8年目ということで自分なりの仕事に対する向き合い方もつかみ始めて、それを外に出せる時期にちょうどきていて。だから、ちょっと余裕を持ちつつ役に向き合えるので、自分が今持てる余裕があるからこそ出せる味を出していきたいです。ユニットでは、先輩とはあまり思われたくないですけど(笑)、尊敬し合えるところはメンバー同士尊敬し合って、もし何か問題が起きたとしても、ちゃんと向き合って問題を乗り越えていけるようなユニットであり、作品になったらいいな、と思っています。

 今、ライフル競技を盛り上げていこうとしているタイミングで、こうして作品に関われることもめったにないことだと思うし、自分たちの活動によって競技が有名になったり、目を向けてもらうきっかけになるひとつのピースとして輝いていけたら、と思っているので、その自分たちの活動に誇りを持って、期待してくれている分、ちゃんと恩返しできるようにやっていけたらいいなって思います……一気にしゃべって、唇がカスカスになってきた(笑)。

熊田:こういうところが、大好きです(笑)。

ライフリング4座談会 前編はこちら

取材・文=清水大輔

TVアニメ『ライフル・イズ・ビューティフル』公式サイト