避難先で「ないと困るもの」トップ3とは? 防災のプロが考える非常用持ち出し袋の中身を拝見!

暮らし

公開日:2020/12/8

 いざというとき、「避難所に行けば国や自治体が何とかしてくれるだろう」と思っていませんか? 何も持って行かなくても、お弁当や水など必要なものは配られるイメージがあるかもしれません。実はそれすら手に入らないことも珍しくないのです。では避難所には何を持って行くべきでしょうか。国際災害レスキューナースとして多くの被災地の現場を経験し、防災術を広める活動を行っている辻直美さんに伺いました。

「避難所に入れたからもう安心だ、ではありません。避難所に来る方の多くが、その後も避難所で生活を送らなければならない現実を想定できていないように感じます。避難所は被災者で溢れていて、その被害状況や怪我の程度もさまざま。『〇〇がなくて困っています! 手配できませんか?』とスタッフやボランティアに言われても、一人一人個別に対応することは難しいのです。避難先で困ったことにならないために、国や自治体の公助に期待しすぎず、自分で備えることが必要です」

災害時に「コレがないと困るもの」トップ3

「災害で物流が止まってしまえば、避難所でも物が手に入りにくくなります。物がない・買えない状況下で、被災者の方が最も『〇〇がなくて困っている』と言うのが、水と食べ物。生きるために最低限必要なものなので当然といえば当然ですね。しかし、非常時なので国や自治体が手配していてもすぐには届かない場合も。何日も家族3人で500mlペットボトルとパン1個だけで過ごさなければいけない、というようなケースも見てきました。

 水と食べ物の次に、避難所で多くの人に必要とされるものは、何だと思いますか? 意外に思われるかもしれませんが、それは電気です。もし仕事中に被災して家族と離れ離れになったら、何を使って連絡を取るでしょうか。大切な人の安否を確認したり、周囲の被害の状況や支援の有無を調べたり、何か情報を得るために使うのは主にスマートフォンです。被災して気が動転し、焦れば焦るほど、藁にもすがる思いで何か新しい情報がないかとツイッターやニュースサイトで検索してしまうものです。その間にも県外の友人から届くメッセージに返信をして、どんどん充電が減っていき、本当にスマホが必要なタイミングで充電が切れてしまった…という話をよく聞きます」

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防災のプロが考える非常用持ち出し袋の中身

「このような状況を避けるために、私が厳選した“非常用持ち出し袋”の中身がこちらです。水、食べ物、モバイルバッテリーのほかにも役に立つものを、避難所生活で困りがちなことと併せていくつか解説します」

防災

①水
避難所でもらえるとは限らないので、最低でも3日分は用意を。大人1人が1日で必要とする水は飲料用2L、生活用1Lの合計3Lだと言われているので、2Lペットボトル×3本、500mlペットボトル×6本くらいを目安に。

②食べ物
食べ物も水と同様に、避難所でもらえない可能性があります。最低でも7日分は入れましょう。防災用で売られている食品ではなく、普段食べているレトルトや缶詰でOK。食べ慣れた味の方が安心できますし、調理に慣れているので応用がききます。

③モバイルバッテリー
スマホを2回半フル充電できるバッテリーを用意しておくといいでしょう。情報を常に追っていないと不安という方はコンセントがなくても使える手回し充電器があればさらに安心です。

④新聞紙
避難所には暖房がないので、これから寒くなる季節に被災する場合を想定して、暖をとる方法を考えておく必要があります。凍えて過ごすことになると、風邪やインフルエンザなどの病気にかかる恐れも。しかし、非常用持ち出し袋の限られたスペースに、ニットやブランケットなどのかさばる防寒具を入れるのは現実的ではありません。新聞紙はくしゃくしゃにして、体に巻きつけると意外と温かいですよ。暖をとる以外にも、骨折や捻挫をしたら棒状にして添え木代わりに、破って袋に入れて災害用トイレに…とアイデア次第で何にでも使える万能アイテムです。
※新聞紙で暖をとる方法は前回の記事で詳しく紹介しています。

⑤45Lゴミ袋
給水車は約3〜7日で来ます。避難所で配られてすでに飲み干した500mlペットボトルをひとつだけ持って給水車に並ぶ方をよく見かけました。給水車が来たとき、水の入れ物は自分で用意する必要があります。リュックの中にゴミ袋を2枚重ねて入れれば、ポリタンク代わりになります。20Lくらいまでなら一度に運べますし、背負えるので女性でも比較的楽に運べて便利です。ほかにも頭からかぶってレインコート、災害用トイレなどさまざまな用途に使えます。

⑤衣類
衣類で必ず入れておきたいのが、替えの下着です。避難所では洗濯を干す場所がないので上着やズボンは毎日着替えていられません。肌に触れている下着だけでも取り替えていれば、衛生的なストレスを軽減できます。女性は、おりものシートを併用すれば、洗わなくても清潔感を保てます。乾きやすさ重視で綿よりも化学繊維のものがおすすめ。ブラジャーは嵩張るので、ブラキャミとショーツを3組ほど持っておきましょう。服は羽織るもの1枚、トップス3枚、ズボン2本、靴下3足、ストール1枚を着まわします。避難所では知らない人同士で密接しての生活になりますので、防犯面も考慮し女性はスカートなどの服装は避けましょう。

⑥衛生用品
コロナ禍で衛生用具の需要度が高まっています。写真にはありませんが、マスクなどの替えも忘れずに入れておきましょう。また、コロナ対策で被災者同士のモノの貸し借りもしないようにと指導しています。余った割り箸をもらうこともできないので、マイお箸、マイスプーンは必需品です。

「非常用持ち出し袋は、使う人によって必要なものが異なります。この記事では私が最低限必要だと考えているものを紹介しましたが、自分にとって本当に必要なものは何か考えてみてください」

取材・文=箕浦 梢 画像提供=『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)



この記事で紹介した書籍ほか

レスキューナースが教えるプチプラ防災

著:
出版社:
扶桑社
発売日:
ISBN:
9784594083359