事故に遭っても前を向き続ける。仮面女子・猪狩ともかが語る「折れない心」とそれを支えた言葉

エンタメ

公開日:2020/11/22

 今年7月に、初の著書『100%の前向き思考 生きていたら何だってできる! 一歩ずつ前に進むための55の言葉』(東洋経済新報社)を著した、アイドルグループ・仮面女子に所属する猪狩ともかさん。

 2014年5月に幼い頃から憧れていたアイドル界へ飛び込んだ彼女は、2018年4月に強風で倒れてきた看板の下敷きになり脊髄を損傷。以降、車いすの生活を余儀なくされるも、ステージを中心にアイドルとして活躍を続けてきた。

 今年2月にはグループからの卒業を発表したが、今、ひとりのアイドルとして何を思うのか。著書に込めたメッセージや過去、そして、未来に向けた思いを聞いた。

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あらためて実感した家族に対する感謝

――7月末に著書が刊行されて以降、周囲からの反響はいかがでしたか?

猪狩ともかさん(以下、猪狩):色々な方面から反響はいただいていて、何かのきっかけで知ってくださった方からの声もたくさん届いています。SNSでも「購入しました」と報告してくださる方や、感想を伝えてくださる方がいて。番組で共演した方やそのファンの方も手にとってくださっているのを聞いたりもしているので、うれしいです。

――著書の前半では半生やその時々の思いを詳細に伝えていましたが、1冊の本にまとめる作業を通して、自分を見つめ直せた部分はありますか?

猪狩:一番は、家族に対する自分の態度です。以前は、少しでも思うようにいかないことがあると家族に当たってしまうことが多かったのですが、本の内容を読み返したり文章を書いたりしていると、本当に家族の支えが大きかったんだと気が付いたし、もっときちんと感謝を伝えなければいけないと思うようになりました。

――この本の中で個人的なお気に入りの部分は?

猪狩:一番気に入っているのは、前半の第I部「地下アイドル、ケガ、そして復帰へ――猪狩ともか物語」の中で紹介した父からの言葉です。
 
 仮面女子の候補生だった時代に「躁うつ病」を患い、休養していた当時に言われた「骨折している脚で走り続けたら、脚は治らないでしょ? この先もアイドル活動を続けたいなら、必要な期間なんだよ」(p.47)という一言は、人生でトップ10に入るほど印象に残っています。
 
 精神的に追い詰められている状況に限らず、本当は前へ進みたいのに立ち止まらないといけなくてもどかしい時期というのは誰にもあるはずで、誰の心にもきっと響くんだろうと納得しました。今となってはより深く染みる言葉だなと思います。

――一方で、周囲から反響の大きかった言葉は何ですか?

猪狩:「55の言葉」のうち、「『できないこと』『できなくなったこと』ではなく、『できること』にフォーカスする」(p.178)という言葉は、色々な方から感想をいただきました。
 
 事故による脊髄損傷を受けて排泄障がいを背負ったことに対する言葉ではあったのですが、「たしかにできないことよりも、できることに目を向けるのが大切」という感想もありました。