成田 凌さんが選んだ1冊は?「まだ何者でもない自分にとって生き方を軽くしてくれる一冊です」

あの人と本の話 and more

公開日:2022/5/14

成田 凌さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、成田凌さん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=大石隼土)

「少し前に一人でふらっと屋久島に行ったんです。そのとき、羽田空港の本屋で偶然この本を手にして。旅をしながら読んだからなのかもしれませんが、すごく心に刺さりました」

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『真夜中乙女戦争』で知られるFが、 大人というには未熟な、悩み多き20 代に向けた『20代で得た知見』。ここには自身の経験や周囲の大人たちの生き方を元にした、人生を生き抜くための言葉が綴られている。

「仕事、人間関係、恋愛……いろんなテーマでメッセージを送ってくれているんですが、どこにも否定的な言葉がなくて。それが“どんな生き方にも失敗はない“と言ってくれているようで気持ちが軽くなりました。また、箇条書きされた“全二十代に捧ぐ55の知見“という項目には、最後に《このリストのすべてを疑え》って書いてあるんです(笑)。その無責任さもすごくいいなぁって。僕自身、今28歳で。自分はまだ何者でもないという思いが強いので、心が迷いそうになったときにページを開いて安心感をもらってます(笑)」

 成田さん主演の『あなたに聴かせたい歌があるんだ』。このドラマもまさしく20代の若者を描いた群像劇だ。何にでもなれると思っていた17歳。が、10年が経ち、現実を目の当たりにした彼らは、夢見た人生から降りるか否かの岐路に立たされる。

「僕が演じた荻野もその一人。夢があるって、それだけで素晴らしいし、彼は人並みに恋愛もしている。でも、何もなし得ていないだけで、他人は勝手に彼を不幸せそうだと決めつけてしまう。ほかの同級生たちに対しても同じで。それぞれに弱い部分があるけれど、夢を追うことが幸せか不幸かを決めるのは本人次第。そんな、一見すると弱者に思える彼らが、最後に自分らしい道を前向きに歩み始める姿が本当に素敵でした」

 特に印象的だった登場人物を訊ねると藤原季節さん演じる片桐の名が。

「何の根拠もないのに、『芥川賞を取る小説家になる』と言い切るところがいいですよね。僕も似たところがあって。謎の自分への過信だけで生きている時期がありました(笑)」

 実はその季節さんにも先日、『20代で得た知見』を贈ったそうだ。

「なんか、人生にモヤモヤしてたみたいだったんで薦めました。けど僕だってそうです。いつも悩んでる。それでも生きていれば、今回のドラマの現場のように宝物のような仲間や作品と出会える奇跡がある。そんなとき、人生って最高だなって思いますね」

ヘアメイク:宮本 愛 スタイリスト:カワセ 136 衣装協力:ニット14万3000円(GUCCI/グッチ ジャパン クライアントサービスTEL0120-99-2177)、スウィングトップ1万5400円(vintage/safari 2nd storeTEL03-3316-5766)、シャツ8800円・パンツ1万2100円(ともにvintage/MONK Instagram:monk_vintage_archive)(すべて税込)

なりた・りょう●1993年11月22日、埼玉県生まれ。モデル活動を経て、2014年に俳優デビュー。近年の主な出演作にドラマ『逃亡医F』(日本テレビ)、連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)など。現在、映画『ニワトリ☆フェニックス』が公開中。6月には主演舞台『パンドラの鐘』が上演。

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Huluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』

Huluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』

原作:燃え殻 原作協力:萩原健太郎 脚本:藤本匡太、燃え殻、萩原健太郎 監督:萩原健太郎 出演:成⽥ 凌、伊藤沙莉、藤原季節、上杉柊平、前⽥敦子、⽥中麗奈ほか 5月20日(⾦)よりHuluにて一挙独占配信(全8話)
●役者、アイドル、小説家、バンド……。夢を叶えようともがきながらも、27歳の彼らはそろそろ現実と夢の分岐点に差し掛かっていた。高2の夏に聞いた、27歳の女性教師が放った「一つでも後悔の少ない人生を」の言葉。そのメッセージが今、彼らの心に重くのしかかる。
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