「隣にいてくれてありがとう」 心あたたまる癒やしの猫コミックエッセイまとめ

アニメ・マンガ

2018/11/10

 近年は猫ブームといわれており、猫の愛くるしさに多くの人々の注目が集まっている。だが、猫の本当のかわいさは見た目ではなく、中身にこそある——と筆者は思っている。そこで本稿では、猫が持つキュートさが伝わる、ノンフィクションの猫コミックエッセイをいくつかご紹介していこう。

■不器用な元プロボクサーと無愛想な黒猫が育んだ絆

『猫なんかよんでもこない。』(杉作/実業之日本社)は、そっけない印象を与えるタイトルとは真逆な内容のハートフルコミックエッセイである。主人公は、無愛想な黒猫と暮らすことになった、ひとりのプロボクサー。主人公は猫が大嫌いだったが、ボクシングの夢が断たれたときに唯一、傍にいてくれた小さな黒猫を大切に思うようになっていった。

 本作は乱暴な口調の中にしっかりとした猫愛が感じ取れるのが特徴。読者は主人公の不器用さにニヤニヤしてしまうだろう。素朴だけれど、深くてホロリと泣ける本作は深く心に染みる、大人のための実録猫コミックエッセイだ。他の作品とは違い、猫を必要以上に崇めていないというのも魅力のひとつだといえるだろう。

■笑って泣ける! 猫を保護することの大変さと幸福感とは?

 猫を保護すると大変な思いをするが、それ以上に幸せなことがある。そう思わせてくれる『猫ニャッ記』(佐久間 薫/文藝春秋)は、とある夫婦が主人公の物語。笑いと涙に満ちたコミックエッセイだ。

 書店員で漫画家のさくさんと、同じく書店員である夫の大作さんはある日、甥っ子が保護した茶丸という子猫を引き取ることに。しかし、家にはすでに気難しくツンデレの・黒丸とマイペースで穏やかな白丸という2匹のオス猫が。この3匹の猫たちがどのように仲良くなっていくのかが、本作の見どころだ。中では猫と触れ合うことで得られる幸福感も丁寧に表現されているため、読後は猫愛で胸がいっぱいになる。多頭飼いがしたい人にも手に取ってほしい1冊だ。

■植え込みに刺さっていた子猫×老猫のアグレッシブで優しい日常

 コミカルなタイトルが目を引く『植えこみに刺さっていた子猫を飼うことにした。』(たぁぽん/ぶんか社)にはある日、ひょんなことから家族の一員となったキジトラ子猫・あけびちゃんのかわいさが描かれている。

 あけびちゃんは最初こそ大人しかったものの、次第に他猫のご飯を横取りしたり、トイレをおもちゃ箱にしたりとアグレッシブな行動を見せ、作者を驚かせる。しかし、先住猫のブドウ(18歳)とライチ(11歳)は、たとえ飲み水をひっくり返されても怒らず、こぼれた水を飲むほど、あけびちゃんを優しく見守っている。無邪気な子猫とマイペースな老猫たちが繰り広げる日常には癒される出来事がたくさん。子猫と老猫の絆にほっこりできる作品となっている。

■余命3日と診断された愛猫との向き合い方

 もしも、家に迎えた猫が余命宣告されたら、自分はどう接するだろうか。——そう考えさせてくれる『猫のとらじの長い一日』(今川はとこ/小学館)は、命と真剣に向き合った作者の姿勢が大反響を呼んだ。30代の独身OLであった著者は友人から、食いしん坊で無邪気な子猫・とらじを貰った。しかし、とらじは実は猫エイズウイルス感染症を持っており、7年の時を経て病気が発症し、ついには余命3日と宣告されるまでに。

 果たして作者は、一緒にいられる残り少ない日々をどのように過ごし、最期の瞬間に何を思ったのだろうか。命の大切さや飼い猫が傍にいてくれることのありがたさに気づかせてくれる本作は、動物好きな方の涙腺をゆるくしてしまうこと間違いなしだ。

■大人気猫小説『グーグーだって猫である』の続編

 大島弓子氏が手がけた『キャットニップ』(小学館)は、ペットショップの隅のケージにいた猫との日々を描いた、大人気猫小説『グーグーだって猫である』(KADOKAWA)の続編だ。

 本作ではグーグーはもちろん、左目の視力を失ったタマやグーグーの真似をするキジタロー、二重人格のトラ、トイレを失敗しないビーなど、個性豊かな猫たちが多数登場。11匹の家猫と5匹の外猫に囲まれながら、猫たちに無償の愛を捧げている大島氏の姿は多くの方の心に感動を与える。

 自分が飼っているかどうかに関係なく、すべての猫たちがどうしたら幸せに暮らしていけるか、人間と一緒に楽しく暮らしていけるのかを考えさせてくれる本作は、命の尊さも訴えかけているように感じる。

■隣にいてくれる愛猫に「ありがとう」が言いたくなる

 猫に限らず、動物と暮らした経験がある方は、いつも隣にいてくれる命に対して「この幸せがずっとずっと続きますように…」と祈ったことがあるはず。『しみことトモヱ 猫がいるから大丈夫』(simico/イースト・プレス)は、そんな願いが存分に込められたハートフルなコミックエッセイだ。

 アラフォー女子である作者と2匹の愛猫の日々は時にドタバタで、時に平和。心に雨が降ることもあるが、さんにんで一緒にいればすぐに晴れになる。センチメンタルになってしまう日も、猫が傍にいれば心は大丈夫になるのだ。3人で過ごすかけがえのない時間を丁寧に描いた本作は、優しくて温かい。多頭飼いの醍醐味も感じられ、中毒性が高いため、何十回も読み返したくなるだろう。

■子育て上手な三毛猫ふうちゃんと2歳児のみーちゃんが築く“家族愛”

 ペットがいる家庭で子どもが生まれると、どうやってふたりの距離を縮めていけばよいのか悩んでしまうこともある。だが、猫の中には自ら率先して子育てを手伝ってくれる子もいるよう。そんな心優しい飼い猫の姿をまとめた『三毛猫ふうちゃんは子守猫』(おたべ/KADOKAWA・メディアファクトリー)は、人気ブログ「ねこのいるしあわせ」を書籍化したもの。

 夜泣きしたら教える、風邪をひいたら添い寝、しっぽであやすのもお手のもの…といった、三毛猫ふうちゃんが2歳児のみーちゃんを子守する姿がかわいいと大反響を得ている。さらに、ふうちゃんは子育てだけでなく、おたべ氏のメンタルケアを行うことも。賢く心優しいふうちゃんの行動を見ていると、思わず目尻が下がってしまう。

■疎まれていても好き! 猫好きのあるあるネタが詰まった人気ブログが書籍化

 元野良猫のぎんさんと夫のきんさんとの生活を綴った人気ブログを書籍化した『きん、ぎん、どう? 夫きんさん&猫ぎんさんの日常観察まんが』(たかたえこ/KADOKAWA・メディアファクトリー)には、猫好きが共感できるあるあるネタが詰め込まれている。

 つれない態度を見せる最強の小悪魔猫ぎんに振り回されながらもニヤニヤ従う作者と疎まれていると分かっていても愛情が止まらない夫は、どちらも強い猫愛を持っている。そのため、夫婦が繰り広げるちょっぴり過保護な猫ライフにニヤリとさせられてしまうのだ。猫の良さを再確認させてくれる本作を読んだ後は、無性に愛猫を抱きしめたくもなる。ぜひ、高い画力で描かれているぎんの姿にも注目しながら、読み進めてみてほしい。

■人気インスタグラマーが初出版! 3匹の保護猫とのドラマティックな日常

「保護猫」という言葉が浸透しつつある近年は、保護猫カフェや動物愛護団体から猫を引き取る方も多くなってきた。そんな保護猫たちが繰り広げる日常のドラマが知れるのが『猫がいるしあわせ』(駒猫/アチーブメント出版)。作者である駒猫(@komaneko0919)氏は、多くのフォロワーを持つ人気インスタグラマー。本作はインスタグラムで綴っていた作品を初書籍化したものだ。

 そばにいつも猫がいてくれると、いつの間にかその温もりが当たり前であるかのように感じてしまうこともあるが、そうではない——と思わせてくれる本作には、保護猫たちの愛くるしさが詰まっている。駒ちゃん、わび助、べーちゃんという3匹の保護猫たちと暮らす日常は果たしてどんなものなのだろうか。

■猫にだって個性がある! ゆるかわな3匹の個性派にゃんこに悶絶

 猫も人間と同じで、性格が違い、個性がある。それを教えてくれるのが、シリーズ累計400万部の大人気エッセイ『うちの3姉妹』(主婦の友社)を手がけた松本ぷりっつ氏が描く、初の猫コミックエッセイ『うちの3ねこ』(竹書房)である。本作では甘え上手なみぃやビビリ屋のおっさん・もじゃ、ちょっぴり鈍くさくて甘えん坊のまるという3匹の猫たちの個性がたっぷりと楽しめる。個性的な飼い猫たちに対して松本氏が、愛のある鋭いツッコミをしている点もコミカルだ。

 なお、本作には3匹の実際の写真も収録されているので、猫好きさんはさらにキュンとしてしまうはず。ゆるかわな画風に癒されながら、個性派猫たちの愛くるしさを噛みしめてみてほしい。

 見た目だけでなく、中身も愛くるしいからこそ、猫はかわいいのだと思わせてくれる全10作品は、心をポカポカと温めてもくれる。癒し度満点な猫コミックエッセイは疲れた心の栄養剤にもなるはずだ。

文=古川諭香