長寿の秘訣と話題のテロメア! 人生をより長く楽しむための食習慣とは?
更新日:2017/10/17
いくつになっても健康でありたい。できるならば一年でも長く生きて、人生を謳歌したいというのは人間の本能なのかもしれない。長寿の秘訣が何であるかはさまざまな方面で語られていることだが、近ごろ、複数のメディアでも取り上げられているのが「テロメア」というキーワードだ。
テロメアとは、人間の細胞を維持するのに欠かせない染色体を安定させ、保護する役割を持つ物質のことだ。それは「人間の寿命を決定する『生命の回数券』と呼ばれている」と解説してくれるのは『テロメア 生命の回数券―健康長寿の秘訣を教えます―』(白鳥早奈英/自由国民社)である。
本書は、テロメアやそれを維持するために必要な酵素「テロメラーゼ」についての解説、さらに、長寿に役立つ食生活を教えてくれる一冊だ。
■長寿の秘訣はテロメアを維持する「テロメラーゼ」
テロメアが「生命の回数券」と呼ばれる理由は、人間の代謝にも関係する細胞分裂のたびにテロメアが短縮してしまうから。そもそも人間の細胞は分裂できる回数に制限があり、一定の回数を超えるとやがて老化していく。そのためテロメアがどれほど残っているのかは、人間の細胞分裂があとどれくらい可能かをみきわめるバロメーターにもなるという。
テロメアの短縮を抑えることが「長寿の秘訣」だと本書は示すが、その鍵となるのが「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素の存在である。
生命活動に欠かせない酵素は、体内で起こるさまざまな化学反応を促す役割を持っている。人間の体には主に、エネルギー代謝を担う「代謝酵素」、食べたものを消化させるための「消化酵素」、代謝酵素と消化酵素に変化することができる「潜在酵素」がある。
その一つであるテロメラーゼが持つ役割は、テロメアを伸ばし維持させること。すなわち細胞分裂の回数をできるだけ長く保ち、老化を食い止めるという働きがある。
■梅干しや納豆などの発酵食品で酵素の働きを活性化
長寿のためには、テロメラーゼを維持するのが欠かせない。そのために心がけたいのが、酵素の働きを活性化させるための食習慣だ。本書では、日頃から心がけておきたいポイントがいくつか紹介されている。
例えば、食卓へ出すときにできる限り「加熱しない」という調理方法はその一つだ。酵素はそもそも、48度で失滅してしまう。生のままの野菜や果物、生鮮食品はそれ自体がみずからを消化させるための酵素を持っているため、無駄にしないためにはそのまま食べるのがよいそうだ。
また、発酵食品にも酵素が多く含まれる。梅干しはその一つで、クエン酸やリンゴ酸などの栄養が多く含まれ、自律神経を刺激しダイエット効果も期待できると本書は解説する。ご飯のお供として親しまれる納豆も同じく、ナットウキナーゼと呼ばれる酵素を持ち、体内の細胞分裂を促す役割があるほか、骨粗しょう症やメタボリックシンドロームの予防効果もあるという。
これらのほか、酵素の働きを促すためのレシピなども教えてくれる本書。日本は世界有数の長寿大国としても知られているが、日頃の生活習慣を見直すためにも役立つ一冊となっている。
文=青山悠
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