いちごの商標権を巡る“ストロベリー戦争”、あなたは法律の穴を見抜けるか? 「商標版半沢直樹」との声も

文芸・カルチャー

公開日:2022/11/9

ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来』(南原詠/宝島社)

 デビュー作『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』を引っ提げ、第20回「このミステリーがすごい!」の大賞に輝いた作家の南原詠氏。今、大きな注目を集めるリーガルシリーズの最新刊『ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来』が、2022年9月9日(金)に早くも発売された。表題にある“ストロベリー戦争”とは、いったいどのような戦いなのだろうか。

 物語の主人公は大胆かつ強気の策で、幾度となく依頼主を救ってきた凄腕の女性弁理士・大鳳未来。今回は東日本大震災から約10年後の宮城県で、農家を町に呼び戻す“絆のいちご”を守るべく新品種の「商標権」を争う。

 全ての始まりは、宮城県のいちご園で開発された新品種“絆姫(きずなひめ)”。世界的なパティスリー「カリス」のお眼鏡にかない、同店のクリスマスケーキに使われることになった“絆姫”だが、出荷前日に思わぬ事件が起きる。大手商社から「『絆姫』は商標登録済みのため侵害だ」との警告書が届いたのだ。

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 さらに「カリス」からは、名称を変更せずに解決できなければ全被害額を支払うよう宣告される事態に。刻一刻とクリスマスが迫る中、未来はどう立ち向かっていくのか。ここから、いちごの商標権を巡る“ストロベリー戦争”が幕を開ける。

 著者の南原氏といえば、自身も主人公と同じ“現役弁理士”の顔を持つ。作品の軸となる知的財産権を巡るトリックや本格的な法律論争は、現役の弁理士だからこそ描ける唯一無二のテーマといえるだろう。

南原詠

 同書の帯のコメントを担当した弁理士仲間の永沼よう子氏も、「熱い戦いに物凄く感情を揺さぶられ 言葉が出ないほど面白かった」と絶賛の言葉をツイートしていた。

 また主人公の未来はどんな不利な状況に追い詰められても、最後には必ずあっと驚かせる方法で依頼主を救ってみせる。弱きを助け強きを挫く姿は、まさに正義のヒーローさながら。多くの読者がスカッとした気持ちで同書を読み終えたようで、ネット上では「『そうくるかー!』という驚きと後半の疾走感がたまらない」「商標版半沢直樹」「法律の盲点を突いた鮮やかな逆転劇が実にお見事!」といった声が後を絶たない。

 気になる方は、ぜひ“ストロベリー戦争”の行く末を見届けてほしい。

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