第33回「日本SF大賞」受賞作が発表

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 日本SF作家クラブが主催する「日本SF大賞」は12月8日、第33回の大賞受賞作品の選考を行い、月村了衛の『機龍警察 自爆条項』と宮内悠介の『盤上の夜』を選出したと発表した。

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 特別賞は、故・伊藤計劃さんによる未完の長編小説で、円城塔さんが執筆を引き継いだ『屍者の帝国』が受賞したとのこと。

 『機龍警察 自爆条項』は、異形の未来兵器が活躍する“至近未来”を描いた警察小説。作者は2010年に小説家としてデビューするまで、アニメ「天地無用!」や「少女革命ウテナ」などに脚本家として参加していた。もう1つの大賞受賞作『盤上の夜』は、四肢を失った若き女流棋士の栄光を描いた表題作を含む、連作短編集。2010年には表題作が第1回創元SF短編賞 山田正紀賞を受賞したほか、2012年には第147回直木賞の候補に選ばれた。

 特別賞の『屍者の帝国』は、執筆をすすめていた伊藤計劃が2009年に亡くなったことで未完となっていた作品。それを同時期に作家デビューした円城搭が、2012年1月に「伊藤計劃が残した原稿を完結させる」と芥川賞の受賞記者会見で宣言。執筆を引き継ぎ、同年8月に河出書房新社から刊行した。贈賞式は、来年3月を予定しているとのこと。

【大賞】
機龍警察 自爆条項』月村了衛(早川書房)
盤上の夜』宮内悠介(東京創元社)
【特別賞】
屍者の帝国伊藤計劃×円城塔(河出書房新社)