空き教室に行くと必ずいる彼は「幽霊」? 桜×幽霊×恋の切なさ2000%物語『放課後、きみと七番目の教室で。』が待望の書籍化!

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/27

男おいどん
放課後、きみと七番目の教室で。』(榊あおい:著、三湊かおり:イラスト/ポプラ社)

「誰もいないはずの学校のトイレから、花子さんの返事が返ってくる」「4時44分に踊り場にある大きな鏡の前に立つと、鏡の中に連れ込まれる」etc…。学生時代に、こんな学校の怪談がウワサされたことはないだろうか。

 2023年3月15日に発売された『放課後、きみと七番目の教室で。』(榊あおい:著、三湊かおり:イラスト/ポプラ社)にも、似たような学校のウワサ話が登場する。恋心と幽霊のウワサ話が交差する物語には、発売前から「あらすじを読んだだけで最高すぎる!」「あらすじでいろいろ想像して目が潤んじゃった!」などと反響が続出。甘酸っぱい学生時代の恋心に浸れる一冊に、多くの人が胸を打たれているようだ。

 同書は、「エブリスタ小説大賞2021」とコラボして開催された「第1回ポプラキミノベル小説大賞」のピュアラブ部門大賞作品。応募総数663作品の中から選ばれた一冊で、審査員からは“やり場のない恋心を抱えた主人公のキャラクター造形と心情描写が素晴らしい”と評されていた。

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 物語の主人公は、中学生の女の子・倉地小雪。いつも一緒にいた幼なじみの康太に密かな恋心を抱いていたが、ある日もうひとりの幼なじみ・美琴から“康太と付きあうことになった”と聞かされ、人知れず失恋してしまう。

 そんな折、彼女の耳に飛び込んできたのは、学校で騒がれている“あるウワサ”。今は使われていない1年7組の教室に幽霊が出るという、よくある怪談話なのだが、気になるのはその後。どうやら幽霊に会うと、願いを一つだけ叶えてくれるらしいのだ。その者の不幸を願いの代償として…。

 単なる怪談話でも、今の小雪にとってはすがりつきたくなるような話だった。さっそく放課後の1年7組へ足を運ぶと、そこにいたのは「夏生」と名乗る男子生徒。桜の見える教室にひとり佇む彼はどこか不思議な雰囲気を漂わせており、色素の薄い髪、白い肌も相まって逆光で透けているようにも見えなくない。思わず幽霊だと勘違いする小雪だったが、彼とは会話もできるし、普通に触ることもできる。つまり普通の同級生のようだ。

 とはいえ、そんな彼にはいくつか疑問点が残る。その日を境に小雪は放課後の1年7組へ足繁く通うのだが、教室にはいつも夏生の姿。どんなに急いで駆けつけても、彼のほうが先に教室にいるのだ。はたして彼はウワサの幽霊なのか。切なくも甘酸っぱい恋物語が幕を開ける――。

「桜と幽霊」を題材に、ちょっぴりの切なさと恋心を混ぜ込んだ物語は発売直後から大きな話題に。SNS上では「キレイで素敵なお話。発売されて嬉しいです!」「榊あおいさんが大好きなので書籍化が待ち遠しかった…!」「三湊かおり先生の絵が可愛すぎ! 切なさ2000%の物語、読み進めるのが楽しみです!」などと絶賛の声が寄せられていた。

 幽霊のウワサ話は本当なのか、夏生はなぜ1年7組にいたのかなど、最後の最後まで展開の読めない『放課後、きみと七番目の教室で。』。自身の初恋や失恋の記憶に、思いを馳せながら読んでみるといいかもしれない。

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