「鬼」のイメージが変わる? 親子でほっこり楽しめる絵本『まめまき!まめまき!』に反響続々「鬼かわいい」「想像以上に深い」

文芸・カルチャー

公開日:2024/1/31

まめまき!まめまき!
まめまき!まめまき!』(西村敏雄/白泉社)

 古くから日本の歴史において、「鬼」は人々に恐れられる存在として語り継がれてきた。そのため『桃太郎』を始めとした昔話では悪者として登場し、2月初頭に行われる「節分」でも邪気の象徴となっている。2023年12月28日(木)に発売された絵本『まめまき!まめまき!』は、そんな固定観念に一石を投じた作品だ。

 著者の西村敏雄はインテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動していた人物で、のちに絵本の創作を始めた異色のキャリアの持ち主。代表作にはサーカスでのトラブルを描いた『どうぶつサーカスはじまるよ』や、インパクト絶大なタイトルと表紙で話題を集めた『うんこ!』などがある。

 いずれも型にとらわれない作風が持ち味となっており、そんな西村が手掛けた『まめまき!まめまき!』は悪者にされがちな「鬼」にフォーカスを当てた絵本だ。

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 物語の舞台となるのは、節分の日。主人公のたろうくんは鬼が家に入ってこないように家族と「豆まき」を行っていた。

まめまき!まめまき!
(C)西村敏雄/白泉社

 次々とやってくる「あかおに」や「あおおに」を退治していくのだが、最後に現れた「こおに」に豆を撒こうとすると、突然「うえ~ん!」と泣き出してしまう。いったい何があったのか、その理由をこおにから聞いたたろうくんは――。

まめまき!まめまき!
(C)西村敏雄/白泉社

 節分では「鬼は外!福は内!」がお決まりのフレーズとなっているように、「鬼」ならば有無を言わさずに追い出す……というのが当たり前になっている。人間にとって鬼は悪者だが、逆に鬼からすれば人間のほうが悪なのかもしれない。しかし『まめまき!まめまき!』で描かれているのは、鬼を絶対的悪としない優しい世界。果たしてたろうくんはこおにとの出会いによって、どのような優しさを見せるのだろうか。

 SNS上には早くも、「固定観念やファーストインプレッションで物事を判断しないことの大切さを教えてくれる」「内容が想像以上に深い」「とてもほっこりした物語。鬼かわいいです」「子どもに読み聞かせたい一冊」といった反響が寄せられている。

 節分や鬼を題材にした物語でありながら、読み終わった後に心がほっこりする『まめまき!まめまき!』。今年は同絵本を読んで、新たな気持ちで節分に臨んでみてはいかがだろうか。

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