なぜBABYMETALなのか。『ヘドバン』編集長・梅沢直幸さんインタビュー

音楽

更新日:2015/2/6

 BABYMETALは僕らを狂わせる。彼女たちからの情報はごくわずかに限られており、唯一、近づけるのはアリーナやスタンドから、ステージと一体になれるライブのみ。そのため彼女たちのファンは、時に現実で、時にはネットという仮想空間の中で、国境や言語などという固定観念などまるでなかったかのように、彼女たちの名前がわずかでも含まれた情報を求め、探し歩いている。

 いったいなぜそのような現象が起きているのか。昨年はYoutubeや海外公演、レディー・ガガの話題をきっかけに、国内メディアでも彼女たちの存在が多数取り上げられるようになった。しかし、多くの国内メディアは海外よりも一歩二歩、ともすれば数百歩も出遅れた形となったからである。

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 アイドルとメタル、Kawaii、クールジャパンなどの既成概念に囚われ、惑わされる国内メディアを尻目に、純粋な「面白さ」から興味を寄せた海外メディアからの情報は濃く、熱くファンの心を揺さぶり続けている。そのため、彼女たちとの距離が大幅に乖離した国内メディアの現状を嘆き、不満を抱えるファンたちの声も少なくない。

 しかし、BABYMETALへ狂うファンたちの魂に火を付け、さらに狂わせるほどに認められた数少ない国内メディアが存在する。メタルカルチャー雑誌『ヘドバン』である。

 旧来の音楽雑誌とは異なり楽曲やアーティストへ焦点を当てるだけではなく、メタルシーンに漂う空気や熱量すら捉えるようなオンリーワンの編集方針が評価される一方、BABYMETALという彼女たちの一端を知るための「バイブル」として崇められている。

 なかでも、国内ではいち早くBABYMETALを徹底的に特集した2013年7月発売の創刊号、メインヴォーカル・SU-METALの1万字にも及ぶ独占インタビューなどを掲載したVol.3がともに重版を繰り返すなど、BABYMETALを軸に据えたメタルファンから高い信頼と支持を集めている。

 徹底現場主義を声高にうたう雑誌『ヘドバン』。ひとたび手に取れば感じられることだが、誌面から溢れ出てくるような熱量とBABYMETALへの情熱は他の追随を許さない。いったい何が『ヘドバン』を突き動かしているのか、そして、現場から見える現在と未来のメタルシーンとはいかなるものなのか、編集長・梅沢直幸さんへ伺った。

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