イケメンがメソメソ泣く「イケメソ」写真集の魅力 ―男の涙は裸以上の素の自分である

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

「また、有馬芳彦さんのシーンでは、男性カメラマンさんが当初の予定以上にモデルさんを脱がしていました。完全にふたりの世界。ガバッと肌を見せながら涙を流す、この写真集ならではの展開でした」

「撮影するうえで大事にしたのは〈ガチ泣き〉です。演技といってもウソ泣きって見る人にはわかってしまいますし、本人の心身にマイナスの効果をあたえるので、推奨したくありませんでした。私は涙活をしているので毎週のように泣いていますが、セクシー俳優のみなさんはそんなに泣き慣れてはいないだろうから、〈泣き待ち〉の時間がさぞ長いだろうと思っていました。以前、『泣き美女図鑑』(寺井広樹/マイウェイ出版)という涙を流す女性の写真集を制作したときは、8時間待ったことがありますからね。でも、今回はさすが役者のみなさんでした。ぐっと気持ちを入れ、順調に泣いていただきました(笑)」

ページをめくるたびに涙を流す男性たちを見ていると、ふと「そういえば、最後に泣いたのっていつだっけ?」と思わず自分自身をふり返る瞬間が訪れる。

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「女性の涙はズルいとか武器だとかいわれる時代もありましたが、社会進出するにつれて女性もどんどん泣けなくなってきました。会社で泣くわけにはいかないですし、泣いたら泣いたでむしろ同性からの反発がスゴイとも聞きます。涙活の参加者も女性が多くて、泣く場所を求めているんだと感じます。だから、イケメソの涙を見てもらい泣きしてもらえるとうれしいですね。女性のほうが他者に対する共感度が高いので、感情移入するとふっと心がゆるんで涙が出てくる瞬間があるのではないでしょうか」

寺井さんが主催している涙活は、参加者全員で泣ける映像などを見て涙を流し、心のデトックスを図る活動だが、ひさしぶりに泣くことで新たな発見をして帰る人も多いという。

「泣くと脳内にセロトニンといわれる神経伝達物質が出ます。これが出ると精神が安定するため〈幸福物質〉といわれることもありますが、活性化させる方法は主に3つです。(1)太陽の光りを浴びる、(2)スキンシップをする、そして(3)涙を流すことです。涙を1粒流しただけでストレス解消効果が1週間も続くんですよ。涙活の最年長参加者は74歳の男性。それこそ、男=泣かないという思い込みが強い世代ですから、最初は参加してもなかなか泣けずにいました。10回ほど通われたころ、突然、堰をきったように泣き出した。この方のように涙活をきっかけに『泣いていいんだ』と価値観が変わる人は男女とも少なくありません。泣くことができればその後はもっといろんな感情も表現できるようになるし、素直な気持ちでいられます」

最後に『イケメソ男子』のベストショットを、女性目線で鍋島さんに選んでもらった。

「1ページ目に収録した、一徹さんの泣き顔です]

「ページを開いた途端に目が合いますし、その表情がちょっと甘えているようで、母性本能がくすぐられます。守ってあげたい、癒してあげたい……とう思うことが、自分への癒しにもつながると感じます」

取材・文=三浦ゆえ

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