「学校なんて行かなくていい」は本当か? 荻上チキ×青木光恵スペシャル対談

出産・子育て

2015/3/27

 春になり、新学年を迎える季節になりました。

 新しい学年を迎えると心配なのがいじめ問題。

 そんな不安を解消するために、いじめから不登校までを描いた『中学なんていらない』の作者青木光恵さん、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」代表の荻上チキさんのスペシャル対談を実施!

 果たして、中学なんて本当にいらないのでしょうか?

もし、いじめに気付けたら、大人にできることって?

――『中学なんていらない』は、青木さんの娘のちゅんこさんがいじめが原因で不登校になる話ですが、いじめはすぐに気付けましたか?

【青木】 嫌な男子生徒がいるって話は聞いていたんですよ。でも、はじめはその男の子、娘のことが好きなのかなと思ったんです。

【荻上】 ちょっかいを出してくる?

【青木】 そんな感じです。娘も「私だけに悪口を言う」って話していたので。そのことを知人に話したら、やっぱり「好きなんじゃないの?」って言われたんです。そう思っていたんで『中学なんていらない』でも書いたように、「もう学校に行くのヤダ!」って、泣いて帰ってくるまでいじめには気付きませんでしたね。

【荻上】 攻撃してくるのは1人だけですか?

【青木】 そうです。うちの子は転校してその学校に入ったんですが、クラスメイトは保育園から、いじめていた男の子と一緒なんです。だから慣れてるんですよ。その子が悪口を言うことに。昔から問題のある子だったようです。授業中もずっと「死ね」とか「バカ」とかの悪口を、一日に百回くらいも言われていたみたいですね。それも、騒ぎが大きくなった後から知りました。

  • 中学なんていらない

――いじめって、子どもからはなかなか言い出しづらいですよね。周りの大人や教師がいじめを早期に把握するにはどうしたらいいんでしょう。

【荻上】 大人や教師が把握するより前に、当事者同士や周囲の子どもたちはいじめに気付いています。入学式当日からいきなりいじめがはじまるわけではなく、少しずつ人間関係のマウンティングをしたり、互いにシグナルを出し合ったりすることによって、それぞれのポジションがマーキングされていきます。まずは軽くいじって、そのうえで本人が抵抗しない、あるいは教師や大人に気付かれなかった、気付かれても特に厳しい注意を受けなかったとなれば、次の段階に行くわけです。つまり、加害行為をしても咎められない、セーフなのだと認識すれば、さらにエスカレーションしていく。大人が気付くのは、それがある段階に達してからということが多いですよね。

【青木】 現実として、いじめに対してできることはありますか?

【荻上】 学校でできること、先生でできること、保護者でできること、国が動かないとできないことなど、それぞれあります。たとえば国単位で言えば、日本は他の国と比べても先生1人あたりでみる児童の数が多い。そのため、手が回らない部分が多く、残業時間も増えていく。いじめというケースだけではなく、非行や不登校、障害教育をふくめ、さまざまな課題に個別対処する体制づくりが必要ですね。それは、1つの学校だけでは難しい。学校側の取り組みなどは、手法的なものがメインになりがちで、大きな改善は政治の役割になります。個別には、たとえば日本では「暴力系いじめ」よりも「コミュニケーション操作系いじめ」が多いので、いじめを受けた・目撃した記録をつけることも重要です。学校側は今、いじめ対策の組織を設置することが義務付けられていますから、担任だけで情報を留めないことも必須です。

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